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思わず買ってしまった!

土曜の昼に原稿を送り、そのままネットで資料探しにAmazonをぶらぶら。そういえば数日前、東京の弟Bから『真田太平記』がDVDで発売されたそうやけど、お兄ちゃん持ってるかあ? と問い合わせメールが届いた。

弟Bと僕は時代劇の趣味がよく似ていて、彼がまだ大学生で僕のマンションによく出入りしていた頃、その当時僕がハマっていた『真田太平記』を見せてやったら、ある意味、僕以上の『真田』フリークになってしまった。で、DVDが出たと聞いて、また『真田』を見たくなったらしく、一瞬買おうかと思ったそうだが、その前にもしかして僕が持っていないかと念のため、聞いてきたのである。

ふっふっふ。実は持っている。ただし、

これは一昨年、スカパーで放映されていたものを、妹に毎週欠かさず録画させてDVD-RAMに保存したものだ。僕はWOWOWには入っているが、スカパーは契約していない。ところがスカパーと契約している妹から、今度時代劇チャンネルで『真田太平記』やるねん、と聞いた僕はすかさず、録れ! 何が何でも絶対に録れ! と命じ、そのために僕は、まだDVDレコーダーを持っていなかった妹にDVDレコーダーを譲り、『真田』が全部収録できるだけのRAMディスクを買い与えた。妹のスカパー受信機は、なぜかタイマー機能がうまくレコーダーと連動して働かず、彼女は用事がある日でも、『真田』の放映時間だけは泣く泣くテレビの前に待機して、手動で直接録画していたそうである。一回でも録画に失敗したら、レコーダーは引き上げると脅していたから仕方がない。

ただ、所詮テレビ受信だから画質はあまりきれいとは言い難い。弟Bがその後、DVDを買ったかどうかは不明だが、同じメールで彼は、もう一つ気になることを書いていた。ついでに『風神の門』もDVDになっているらしいと。

『風神の門』。司馬遼太郎の同名小説の完全ドラマ化。司馬さんがまだ娯楽時代劇を書いていた頃の、僕は最高傑作だと思っている。いまちょっと調べてみたら1980年の制作。ということは『真田太平記』が放映される5年も前の作品だから、細かい展開はほとんど忘れたが、とにかく面白かったという印象は残っている。内容は霧隠才蔵を主人公として、善玉悪玉美女妖女が様々に絡み合い、クライマックスの大坂の陣に向けて、徳川対豊臣の暗闘が繰り広げられていくという、後年、歴史小説家の重みが強くなった司馬さんの作品群に比べ、この作品は波瀾万丈、痛快時代劇といった感じの展開だ。

才蔵を演じたのは三浦浩一だったが、この人の印象は、正直言ってちょっと薄い。だいたい僕はこの人の名前を誰かに説明する時、いまだに「純アリスの旦那」という形容詞しか思いつかない。もう「純アリス」自体が死語のようなものだが、こないだ夫婦で深夜の通販番組に出ていたのを見かけた時はびっくりした。純粋で清純でアリスのような美少女だったはずの女性が、キャシー中島と区別がつかなくなっている。こんなとこで比較されるキャシー中島もどうかと思うが。

このドラマでもっとも僕の目を引いたのは、戦国の世の運命に翻弄される無邪気な貴族の娘、青子を演じた女優さんだ。美しさと可愛らしさが同居していて、まさにこの役を演じるのにぴったりだったが、樋口可南子という名前は、このとき初めて覚えた。さらに才蔵の宿敵となる、寡黙な殺人マシーンとも言うべき徳川方の忍びで、獅子王院という人物も印象に深い。ずいぶん前に、僕は妖怪退治ものの漫画原作で、獅王院という敵役を登場させたことがあるが、モデルはもちろんこの人だった。

他にも真田幸村の竹脇無我、昌幸の宮口精二はともかく、猿飛佐助は渡辺「探訪」篤史、三好晴海入道は団しん也(なんでまた!?)、穴山小助は森川正太(青春か!?)などという、似合ってんだかミスキャストだか、けっこうぎりぎりの配役もあったものの、全体としてはとにかくテレビ時代劇の水準がまだまだ高い頃の傑作の一つだったと記憶している。

で、それが本当にDVDになってるかどうか、せっかくAmazonに寄ったついでだったんで調べてみたら、ちゃんとあった。もう何だか嬉しくて。ハッと気が付いたら、僕の手はいつしか上下巻のボックスセットを買い物かごに入れて、精算ボタンをマウスで押していた。上下巻でしめて三万半ばくらい。ちょっと痛いが仕方ない。だってこんなもの、そうそう再プレスもされないだろうし。

ちょっと時間が出来るとつい余計な買い物をしてしまう。こういう癖が出始めるのは、本格的に仕事が煮詰まりだした頃と決まっている。あながち木の芽時のせいばかりでもない。

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