30%?
小説の方の原稿、いまさっき、ほぼ2ヶ月ぶりにやっと次の50枚ばかりを編集部に送る。
取り立ててスランプというわけでもなく、原作の方が忙しいと言えば忙しいものの、それも単に仕事が遅いだけだから、まあ去年の状態とそんなに変わらないのだけれど、クライマックスが近づけば近づくほど、足はぬかるみに入ったように、なかなか話が前へ進まない。この期に及んで、あれもやりたい、これも説明しておきたい、などという欲が、いろいろ出てきたせいだろうか。
これでもう、書き上げた原稿は200枚くらいになっているのだが、これでも僕の構想としては最終巻のまだ30%くらいにしかなっていない。本当に大丈夫なのか。去年の出版から1年以内に出せるかどうかより、この巻で全部話が収まるかどうか、そっちの方が不安になってきた。ちなみに僕の周りの読者は誰一人、収まるとは思っていない。ふん。そんなにこの話を長引かせて何か楽しいかっ?
今日は埋め草的に、最近テレビ関係で見ているドラマについて、思いついたことを幾つかメモ。なので、興味のない人はスルーして結構。
最近、テレビではまり始めているのが『地球へ』。いや、これは言わずと知れた竹宮さんの傑作で、もちろんテレビでやっているのはアニメである。僕は原作は未読だが、20年以上前に映画化されたアニメを見に行った記憶がある。
細かい話はまったく忘れているが、要するに地球外の惑星に住んでいた人類の中に、時折突然変異のように生まれる超能力者は社会にとって恐怖の対象として、成人になる前に処分される運命にあったが、凄まじい潜在能力を持つ主人公は、処分される寸前にその社会から逃げ出していた超能力者集団によって救出され、彼らと共に魂の故郷である地球を目指す、という展開だったかと思う。
原作はなにしろ、女性漫画家としてばりばりにとんがっていた頃の竹宮さんだから、恐らくかなり哲学的な内容も含まれるのではないかと、これはまったくのあてずっぽうだけど、推測するに、今回のアニメ化された作品は、むしろノンストップアクション的なノリで、SFアクションみたいな話になっている。だからもしかすると、本来の原作ファンには違和感が残るかも知れない。僕は違うので、純粋に楽しめた。何より絵がきれいだし、戦闘シーンもCGばりばり使って、かなりの迫力を出すことに成功している。
だいたい最近のアニメは、明らかにCG合成したものが増えてきていて、メカとかを描く分には確かにそれなりの効果もあるだろうが、肝心の人物部分になると、どう手抜きしたらこんな絵になるんだと思いたくなるような作品が、けっこう目につく。一例をあげると、いまWOWOWでやっている『ムーンライト・マイル』。
これ、原作はそこそこしっかりした話のようだし、アニメ化されると聞いて、じゃあ見てみるかと第一回から録画を始めたのだが、2、3話も見たら、もうどうでもよくなった。話は多分面白い。宇宙ステーションとか、飛行シーンなども、そこだけ見ていれば、まあまあ作っている。だが、キャラのデッサンがめちゃめちゃ。一昔前の、マイナー系のプロダクションが作ったアダルトアニメみたいと言えば、わかる人にはわかるだろう。
時には同じ登場人物で場面ごとに誰だかわからなくなることもあるし、セックスシーンだってそこそこあるけど、女にまったく色気もへったくれもなくて、とうとう見る気がしなくなった。一応、これ、妻が原作のファンなのでまだ毎週録画はしているが、妻には毎回見終わったらとっとと消せと言ってある。それに比べて『地球へ』は、作画がまだまともである。というか、本来それが当たり前のはずだが。キャラデザインも、いわゆる竹宮タッチはほとんど見る影もないが、僕にはそれが有り難い(^_^;)。そして、話の根っこ自体は30年経ってもまったく風化しておらず、むしろ新しい感覚さえする。それだけの力を持つ物語を生み出したと言うだけで、やはり大したものである。
1話と2話を見て僕が絶賛した『わたしたちの教科書』は、第4話を見てちょっと微妙。この回、死んだ少女の父親で、菅野美穂の結婚相手だった男が出てくるが、何と彼は若年性アルツハイマー、はっきり病名は言わなかったと思うが、多分そういうことだと思う、に犯されていて、結婚直後に菅野の前から姿を消したのも、自分の病気に気づいたためだという説明がなされる。それはちょっと、いろいろ無理がありすぎはしないか。そもそも父親の父親である山本学さんは、自分の孫娘が息子の結婚相手にも捨てられ、施設に放り込まれていることに何の関心も示さなかったのだろうか。学さんも人格もしくは生活破綻者であるという設定なら、それはそれでOKだが。
ちょっとカチンときたのは、この父親が認知症患者にしてはなんだか便利に使われていることだ。菅野が結婚してすぐ旦那に逃げられてから7年。再会した男は、菅野が誰かもわからず、ひたすら靴を磨き続けている。まあ、いいだろう。7年も経てばかなり進行する。ところがこの男は翌日、菅野を訪ねてタクシーでやってきて、自分の娘が死んだ事件を裁判にするため、法定代理人として必要な自分の印鑑を菅野に届ける。でも、男には自分のやってることの意味がわからない。慌てて後を追ってきた学さんに菅野は、この人は娘のために闘いたいと思っても、もう原告になる能力はないから、あんたが代理人として原告になってくれと頼む。父親役の人も、うぅ、うぅと、涎を垂らしながら名演技……かっ? 僕はこの辺りで、思わず鼻先で笑ってしまった。そんな都合のいい認知症患者なんかいない。少なくとも僕は聞いたことない。
この辺りで脚本家は感動的なウケを狙ったのかも知れないけど、あざといと言うよりも、典型的なご都合進行である。期待が大きかった分、かなりの落胆もしたが、考えてみればこの作家は、以前僕がやはりWebで罵詈しまくった慎吾の『西遊記』の人だから、もしかするとこっちの方が実力に近いのだろうか。そうではないことを願って、この話はもう少し様子を見ることにする。
衛星放送の方では、BSフジだったかで最近始まった韓国ドラマ『チュモン』にハマりかけている。これは古代韓国史を舞台にした、歴史ドラマというよりはどちらかというと『指輪物語』みたいなファンタジーに近いかもしれない。少なくとも漢の鉄騎兵のコスチュームは、明らかにそういう系統の影響。韓国歴史ドラマにしては珍しく(?)、悪役は日本ではなく中国である。もっとも、この頃日本は韓国と言わば親戚づきあいみたいな状態にあったと思うのだが。とにかく女優さんがきれい。特に物語は主人公で、いずれ建国の英雄とかになりそうなチュモンの父親の時代から話が始まっているから、そのチュモンの母親になる姫様役の人に、いまぞっこん。確かにチェ・ジウさんにちょっと似てるけど、チェさんよりも肌に塗り込んだ白粉の量が少なそうな感じでgood。
ちなみにチュモンの父親で、漢帝国に刃向かう反乱軍のリーダーを演じる人は、ちょい太めの白竜さんみたいな感じ。彼が罠にはまって漢に捕まり、目をくり抜かれて磔になっているところへ、その姫様が妊娠したことを告げようと近づくシーンでは、思わず僕は妻に、これはジャングル大帝だっ! と叫んでいた。ま、歴史的な考証はどうなのかまったくわからないが、戦闘シーンも迫力あるし、いろんなところに金がかかっていそうでなかなか楽しめる。これも毎週のお楽しみ。
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