わたきょーの最終回は・・・

どこのテレビ情報を見ても、今期のドラマは完全惨敗で、成功したドラマは何もなかったという評判である。そうかな。僕はけっこう今期はいろいろ楽しみなドラマはあるのだが。

もっとも僕の感覚的には、最近の高視聴率ドラマというのは名実共に最低なドラマを意味することが多いから、僕の気に入ったドラマの視聴率が低くても、そのこと自体はそれほど気にならない。たとえばアメリカで高視聴率を取ったドラマというのは、確かにさもありなんと唸らされるドラマであることが多いが、日本の場合はまったくと言っていいほど、視聴率があてにならないのなぜだろうと、時々考えさせられることがある。最近、その一つの解に思い当たった。そうか。僕はアメリカ人だったんだ。

もっとも、いまWOWOWでやっている『コールド・ケース』のようなドラマは、僕は何度か見たけれど、アメリカ製ドラマにしては異色と言っていいほど、内容の薄っぺらい刑事ドラマである。ラストシーンでは必ず、逮捕された犯人や被害者の現在の姿と、数十年前の若い時代の姿をオーバーラップさせて、当時の懐メロをＢＧＭにしながら感傷に浸らせようというあざとい演出がなされるが、あれはほとんど事件解決の後、サングラスをかけて夜道を歩く渡哲也の歌を聴かせるのと同じくらいのお約束で、そんなもんに３分も４分も時間かけるくらいなら、もっと本編で緻密な話を作っとけと言いたい。ま、そんなことはともかく。

我が家でワタキョーという愛称で呼んでいる『わたしたちの教科書』最終回を、やっと見た。実際、ドラマ惨敗と言われる春シーズンではあるが、今期は僕は毎週必ず録画して見ているドラマがこのワタキョーの他にもけっこうある。たとえば土曜に放送している『地球へ』とか、ＮＨＫＢＳでやってる『清左衛門残日録』、さらにＢＳフジでやっている韓国時代劇『チュモン』など。もうこれらが毎週楽しみで楽しみで・・・・・・って、ワタキョー以外は全部今期ドラマと呼ばれる範疇のものではないか(^_^;)

ワタキョーは、はっきり言って期待したほどは盛り上がりもせず、ドラマとしては実に中途半端な結末であった。まあ、もともと中盤以降、話をあちこちに飛ばしすぎて、どう考えてもこれはあと３回や４回じゃまとまりようがないだろうと思っていたけど、その通りになった。一番の不満は、菅野美穂の演じる女性弁護士のキャラ自体の行動原理が、ついに最後まで明らかにされなかったことで、つまりあの弁護士は、かつて自分が虐待した少女のために戦うことで、いったいどんな目覚めが起きたのか、それがまったく明確にはならなかったことだ。ドラマとして芯の通ったものにするには、そこに一本ぶれないテーマを置くしかないと思っていた僕などは肩すかしをくらった感じであり、結果としてこの作品自体のテーマが、全体的に印象の薄いものになった感は否めない。

それでも僕は、こういう作品を送り出そうとした心意気は肯定するし、途中でやめもせずに最後まで見たいと思わせたドラマという意味では、大いに評価したい。どんな作家でもやはり仕事の出来不出来はある。この言い方が不遜なら、僕にとっての好き嫌いと言い換えてもいいが。テレビシリーズの『踊る捜査線』で感心した君塚さんだって、１作目はぎりぎり許すとして、映画版の２作目を見た時は、これを同じ人が書いたのかと思うくらいしょーもない話になっていたが、その伝でいけばワタキョーの脚本が、悪ノリした冗談を書いてるとしか思えなかった慎吾の『西遊記』と同じ作家と聞いて、まったく期待していなかったのに逆の意味で裏切られた。

さて、夏シーズンには果たして見たいと思うドラマは何か出てくるだろうか。あまり期待もしないが、はなから絶望するのもどうかと、今回ワタキョーのおかげで思うようになった。日本映画と同じく、本来僕は日本のドラマにこそ期待していたいのだ。ちなみにワタキョーで菅野美穂の恋人役をやってた谷原章介、この後番組でも出てくるらしい。仕事途切れないなあ、谷原。いや、それどころか最近見始めるようになった『風林火山』でも今川義元の役で出てるし、こないだ偶然見かけた中国語会話のスキットにまで出ていたのは驚いた。売れまくっとるじゃないか谷原章介。なぜだ？　一文字変えればただのオハラショースケなのに！　関係ないか。

そんなわけで最近、僕のプチブームは章介ごっこである。つっても、ただ少し鼻に抜けた甘い声を出して喋ってみるだけなんだけど。道で会ってもやってくれとか言うな。似てねえから。