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そろそろ受信料を……(^_^;)

夜中の3時頃、仕事の合間に以前録画しておいたBSハイビジョンの番組を見る。日本軍の毒ガス作戦についてレポートしたドキュメンタリーだ。仕事の都合で実はまだ2時間ある番組の半分しか見ていないが、なかなか見応えのある力作だった。

僕はほとんど知らなかったが、日本軍は中国大陸で毒ガス作戦をかなりの頻度で実行していたらしいことが数々の証拠、証言で明らかになっていく。暗号名は「緑」「赤」「黄」という、まるで交通信号のような呼び名だが、それぞれ緑が催涙弾、赤がそれよりもう少しきつい呼吸器と粘膜系を犯す何とかというガス、そして黄がイペリットだという。

もちろん第二次大戦時、毒ガスは国際条約で禁じられた兵器だった。日本は確かジュネーブ条約は批准していなかったと思うが(ここらへんはうろ覚え)、国際的な評判を気にしてか、欧米人に対して、あるいは欧米人にバレるような場所では使わなかった。早い話、中国人にしか使わなかったらしい。この効果は絶大で、日本軍がガスを使った戦線は軒並み勝利を重ねている。

これが日本敗戦の時点でまだ3~40万発くらい中国に残されているという。時々、これが不用意に発見されて被害に遭う人がいるということを、僕たちはわざわざ日本の裁判所に訴えに来る被害を受けた中国人によってしか知らない。法的問題はともかく、そりゃ向こうの人が怒る気持ちもわかる。わからないのは自慰史観にハマってる人たちくらいか。ただ、いわゆる南京虐殺問題や従軍慰安婦問題と違って、日本の毒ガス戦が現在、ほとんど話題にならなかったのは、簡単に言えば東京裁判で採りあげられなかったからだ。

もちろん連合軍の軍事法廷は、この問題も訴追の準備を重ねていた。GHQの調査官が実際に中国に足を運んで、毒ガスが使用された痕、被害者の証言、日本軍の作戦書などの証拠書類を集め、裁判に臨もうとした矢先、開廷される直前で米本国からの圧力により、これらの訴追が見送られたというのだ。もしこの話が東京裁判に出てきていたら、日本史の教科書は日本軍の毒ガス作戦についても記述する本が出ていたかもしれない。そうならなかったのは米国のおかげ。

僕もこの後の話は多少知っている。すなわち悪名高い731部隊の関係者は、裁判直前に戦犯としての起訴を見送られ、その見返りに彼らは米国の化学・細菌戦研究に協力し、資料もすべて渡したと。そりゃ米国にしてみれば731の研究データは宝の山だったに違いない。なにしろ本物の人間を使った詳細なデータが残されていたのだ。人道主義を振りかざす米国にしてみれば、本音でいくらやりたくたって、そんなことおおっぴらには絶対できないだろう。実際、その実験記録を見れば、まともな神経を持っている人間なら普通、胸くそが悪くなる。こんなことに同じ日本人が関わっていたのかと思うと、僕の愛国心は激しい憤りを覚える。もちろん、米国の都合で彼らの所業が闇に封印されたことにはそれ以上の怒りを感じる。

その一点だけでも、東京裁判が大国の思惑と都合によって左右させられた証左には違いないが、それ以上に罪深いのは、結局ここで何らかの裁きを受けるべき連中を生き延びさせてしまったがゆえに、その後の日本はさらに彼らの犠牲者を増やす結果になったと、僕は見ているからだ。何の身に覚えのない人が、突然エイズや肝炎にされてしまったのは、あの企業の人命に対する唖然とするばかりの無頓着さが影響している。でなきゃ製薬会社って、人の命を助けるための薬を作ろうとしてる企業だろ、ふつー。あの会社の設立に関わった連中が戦時中に行なったことから考えれば、明らかに人命なんか二の次に考えられる頭の構造をしていたことが類推される。扱う相手が中国人から日本人に変わっただけの話だ。

こう考えれば、歴史とは決して現代とは隔絶した過去の話ではなく、むしろ歴史は常に現在の僕らの生活に直結している。その歴史をどう評価するかとは、個人レベルで言えば、その個人の生き方や人生観につながる問題であり、国家レベルで言えば、その国がこれからどんな国家としてあるべきか、ありたいかを示す指標になる。ただし、いまの自民党中心の政権による歴史認識には僕はまったく期待してもいないし共感も出来ないので、せめて僕は僕なりの歴史認識を持って、僕個人の誇りと矜持を汚さずにすむように生きていきたいと願うばかりである。もちろんそのためには正しい情報が常に必要となる。が、情報が常に正しいとも限らないので、物事を見る目は出来る限り鍛えておかねばならない。結果的に歴史を知るということは、ボケ防止の有効な対策にもなる。違うか?

やや話がずれたけど、番組の後半はまだ見ていないので、ミドリ十字の話題まで追いかけられているのかどうかは知らない。タイトルの感じから言えば、そちらの方ではなく、あくまで日本軍の毒ガス作戦を追求する方向にいくのかもしれない。どちらにせよ興味はあるのだが、仕事が忙しくてなかなかその続きを見られない。ただ、NHKの戦争関係のドキュメンタリーは、毎年敗戦記念日前後に集中するというきらいはあるものの、けっこういいネタを持ってくることが多い。先日見たマニラ市街戦の話といい、陸軍特攻兵の生還者の運命を追った話といい、特に今年は秀作が多かった気がするけれど、逆に言えばこれは戦後60年以上経ってようやく明らかにされ始めた証拠、たとえば封印の解けたアメリカの公文書などによるものが多くなってきたということだろう。

いま言ったように、もちろんアメリカの公文書(もちろんその中には日本側から押収された文書も多量にある)をすべて鵜呑みにしていいかどうかという問題も同時に意識されねばならないが、そのためには生存者の証言で裏を取る作業がどうしても必要になる。しかし年数が経った分、証言できる人間はどんどん減っている。やれる時にやるべき作業をやっておかねば、歴史の闇の中に真相が消えてしまう問題も山ほど積み残されてしまうだろう。そうなってからでは、いくら正しい情報を手に入れたいと思っても、もう取り返しがつかない。そういった意味でも、今年のNHKはこのジャンルにおいては、かなり頑張っているように見える。そろそろ受信料を払おうかと思う(^_^;)

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