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赤影も再放送(T.T)

最近、ひどく肩が凝る。

もちろん肩凝りはもう、何年も前から慢性的に凝った状態が普通、みたいになってるので、いまさら肩凝りがなかった頃の肩の状態を想像してみろという方が無理である。その頃はもしかしたら、いまよりもっと何か、体全体が軽く感じていたのだろうか。もはやすっかり忘却の彼方。ま、実際その頃からとは20キロ以上重くなっとるがな

ただ、そんな肩凝り普通みたいな状態ではあるが、四六時中肩が凝っていることを意識して暮らしていたわけではない。肩のツボを押したり首筋を揉めば必ず気持ちがいいと思うくらいで、仕事中にそう頻繁に肩の痛みを感じたりはしていない。この数週間来、起きてる間中ずっと肩がじんじんしていて、さらにその痛みが徐々に首筋に上ってきて、顎の下とかリンパ節まで腫れてきてるような感じだ。こうなりゃ5年ぶりに人間ドックでも行ってみようかしらん。

そんなわけで、昨夜夕食を食べた後、どうにも体が首回りを中心に重だるく、集中して仕事にかかれるような気分にはとてもなれなかったため、インドメタシン配合の湿布薬を首に貼りつけて、布団をかぶってさっさと妻より早く仮眠することにする。目が覚めたら3時。おお、とっとと仕事にかからねば、とリビングに降りてきてノーパソを開き、もっとしゃんと目を覚ますために夜食をとりながら、何気なくテレビをつけてみたら・・・

なんと、『赤影』をやっていた()

しかも第1話と2話を一挙放映。番組表を見たら始まってまだ5分くらいしか経っていない。ついつい、そのまま見始めて、とうとう全部見てしまう。いやあ、話の筋はあらかた知っているのに、何度見ても飽きない。おかげで終わったら4時。ああっ、貴重な仕事の時間があっ。

まあ、『赤影』についての話はここでも何度もしているから、そう繰り返すことはないけど、繰り返しちゃうんだな、これが。慥かにいま見れば、特撮はもちろんちゃちいし、そもそも忍者が仮面で顔を隠す意味とかあるのかとか、いろいろ突っ込みどころは豊富であるものの、それは40年の時間差もある程度考慮していただくことにして、40年前にこれ見せられていた子どもは、やはり相当しあわせなことであったなあとしみじみ。

結局この年になっても、最後まで見ても飽きないのは自分の子ども時代への郷愁がかほどに強いせいであったためかとも考えてみたのだが、その答えはいま一つ思いついた。一言でいえば多分、プロットに無駄がないのだ。余計な贅肉はほとんど入れず、次から次へとノンストップで話が展開していくため、いま見てもこれ、次はどうなる、この後どうなるんだ、と、わくわくしながら、あるいは手に汗握りながら画面に釘付けにされてしまうのだ。東映時代劇は、結局これやって滅びたんじゃないか?()

そういや今期の新番組はほぼ全滅した。ちらっと見た印象だけであえて言うけど、とにかく今期は、ま、今期に限らず、学芸会みたいな話か、どうでもいい話が多すぎる。もちろん新ドラマを全部見たわけでもないし、タイトルを見た時点ですでに萎え~な作品もあるが、総じて現代のドラマはこの『赤影』の10分の1ほどの面白さもなければ魅力もない。いや、大きく言えばテレビドラマは多分70年代辺りをピークにして、劣化の一途をたどっている。もちろんたまに見るべき作品だってあるし、本当にせめてそこそこレベルのドラマが一本もないような事態は困るけれど、ドラマ全体の地盤自体、80年代から年に5センチずつくらい沈んできている。

そういう状況に警鐘を鳴らし、いまのドラマがいかにろくでもない状態になっているかと記者会見でぶちかまし、ある種背水の陣を敷く形で連ドラを始めた倉本聰氏。僕は昔、この人の書く物が本当に好きで、シナリオ集やエッセイなどをよく買っていた。比べるのも失礼かも知れないが、たとえばこの人のエッセイを読めば、いま三谷さんが朝日新聞で連載しているエッセイなどと足下にも及ばない。紛れもなくドラマが一番良質だった時代を支えた作家の一人であり、押しも押されもしない大御所である。そのせいかどうか、概ね今期のドラマ評で外の作品はボロミソにけなす職業コメンテーターの場合でも、倉本さんの作品だけは評価していることが多い。

はっきり言いますがね、『風のガーデン』。あれはつまんないです。てゆーか、倉本さんの作品は正直言うと、僕はもう『北の国から』辺りを最後に、あまり感心した作品にあたった記憶がない。そりゃ他にあほなドラマが多すぎるから、それらに比べれば一応、真面目にドラマを成立させようとしているという意味での好感は持つ。遺作となった緒形拳を始め、役者陣は芝居を見られる人をそこそこ揃えている。第1話の中井貴一が働く病院内の雰囲気も、正直、救命病棟うんちゃらかんちゃらみたいな話よりはうまい見せ方をしているなと思った。ただ、話が北海道に飛ぶと、そこからなんだか登場人物たちが、途端に何か浮世離れした存在になってくる。

隆之介くん演じる息子が軽度の発達障害という設定も、なんだかいまの時代にはありがちな設定に思えて、あまり感心はしない。娘の黒木メイサは不倫か何かをしているなら、ホタルちゃんと一緒だけど、ホタルの場合はそこまで流れ着く膨大な物語内の時間の蓄積があるから、まあそれなりに納得はできた。今回は最初から何か不倫的な交際を匂わせている。倉本さん、まさか年頃の娘が人生で抱える難問は不倫しかないと思っているわけでもないだろうが、何かキャラ配置の仕方がいかにも安易、と言って悪ければ定型。これでは『スキャンダル』を笑えない。で、おまけにソーランをやっているというのが、ちょっと新しい試み?

もうさ、地方にいる若者が、地元で踊りをやってるとかいうのはやめてほしい。ソーランとか阿波踊りとか。何かドラマ的に盛り上げたいと思ってついそういうものに頼ってしまうなら、それは脚本力の敗北。真っ向からソーランテーマな作品を作るなら別に文句は言わないけど、この話のキモはそこじゃないでしょ。もちろんクライマックスは全然別の展開になる可能性もあるけれど、もし最終回でソーランをやったらそれはまるでさだの眉山。僕はもうそういう展開は上戸彩の金八だけで充分お腹いっぱいになったので、別に見たくもない。てゆーか、ここまでの感想、実は第1話しか見ないで書いているので、もし上記の内容に何か勘違いがあったとしたら、倉本先生、ごめんなさい。

でもね、やっぱりこの作品つまんないなと、少なくとも来週はどうなるんだろうという興味をまったくこちらに持たせないのは、受け止める僕とこの作品の間に何かずれがあるということか。てゆーかこの数年、倉本さんて結局全部同じようなシチュエーションの話しか書いてない気がする。昔のこの人の作品は、現代物はもちろん、時代劇でさえ、どこかいま現在と斬り結んでいる感覚があった。その緊張感、予定調和に陥らない落とし方で人生のある断面をすぱっと見せる鮮やかさ。僕の作劇の一部は明らかに当時のこの人の作品の影響を受けている。

なのに別に富良野に引っ込んじゃったせいばかりでもないと思うけれど、物語に北海道の大自然の美しさが入って来たりしてしまうと、一回は許せても、二回三回となるとそんなに自然でだますなよと言いたくなってくる。それよりもっと凄い人間のドラマを見せてほしいと思うのだが、もう老大家になった倉本さんにまたそういう作品を求めるのはファンであった人間のエゴか。晩年の黒沢明にまた七人の侍みたいの撮ってほしいとか、宮崎駿にもっぺんラピュタみたいのをやってと頼むようなもので、壮年期にさんざん名作を作った人には、ある意味好きな作品だけ作ってもらって静かな老後を過ごしていただくのが、ファンの願いとしてはまっとうなのかもしれない。問題はそういう人たちの後継者が、若手でちゃんと育ってこれなかったところにある。

『赤影』の話から、いつの間にかまた違う方向に走ってしまった。こんな書き方をしているからいつも話は長くなるわ〆切は守れんわになってしまい、担当編集から総スカンを食らうのだ。番組の最後に『赤影』、明日は午前3時14分からの放映とテロップが入る。わーい、じゃあ明日も夜中にこのチャンネルで見ようかなと思って、はたと気づいた。俺、全部DVDで持ってんじゃん()

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コメント

こんばんは、Ujiさん。今、私も「赤影」を見終えたところです。
わたしも、金目教篇だけはDVDを持ってるんですけどね~。
Ujiさんとは世代がちょっと違うようで、私はちっちゃい時に
「赤影」を見ました。そう、映画館でも。白影さんが「さあ、
ここからは立体めがねをかけてくれ!」って。(゚ー゚)

物心育つ時に「赤影」みたいな作品を見てたことは、
しあわせだったことと思います。
こんなので育ってたら、子供はゆがまない、なんて
思ったりもしたり。

話が変わりますが、「くらま」って飲み屋かなんか
なんですね。私も時間に融通がきけばいきたいです。

 僕も肩こりがひどくて

 ごぶさたです。先日、歴史群像のお正月付録を作るために、40時間連続で座り続けの、マウス握り続け状態で居たところ、見事に左の肩胛骨に激痛が。肩こりを通り越しています(^_^; 娘に揉んでもらったけど、効果なし。飯田橋のマッサージ屋に行ってきます。宇治谷さんもお大事に。

 ところで、NHKオンデマンドが始まりまりした。僕としては日本の話芸の見逃し視聴をしたいのですが。大河では中井貴一の武田信玄が上がっています。

 で、ついでに宣伝ですが、本日(正確には12月8日)に拙著「帝国海軍艦艇ガイド」が発売になりました。主にコンビニ売りとのことですが、この内容で530円は安い! ということでよろしくお願いする次第です。

木曳鴇妻

 テレビは終わりでしょう。

 従来のテレビは、マスコミのマスが本当のマスであれば機能するんでしょうが、今はマスが多数のミニで構成されている時代です。テレビを見るよりも、ネットを彷徨っていた方が面白かったり、刺激的だったりしますから、再びテレビが力を取り戻す時代は来ないと思いますよ。

 でも、今期のドラマでは「ブラッディ・マンディ」が(ほとんど見ていないけど)結構よかったのでは? というのも、うちの女房どのがいきなり原作のマンガを買ってきたという、薄っぺらい判断ですが(^_^;

 とはいえ、うちの女房殿が今まで買ってきた漫画というと、「ガラスの仮面」と「ベルセルク」だけでしたから。ガラスの仮面はともかく、ベルセルクのどこがヒットしたのか不明ですが。

「ブラッディ・マンディ」は最初だけチラっと見ましたが、なんか「仮面ライダー・アギト」のように感じたのは僕だけでしょうか。

 今年はテレビ局の収益が悪化したのが顕著だそうで、制作費がどんどん削られるようですが、さらに視聴率が落ちるのは確実ですね。アメリカのように、映画レベルの超大作ドラマを安定供給出来ないものですかね。そういう意味では「ブラッディ・マンディ」は有望なドラマという気がするんですが。

 少なくとも、大人が満足出来るドラマを作りたいんなら、子供を主人公にするなといいたい。赤影だって、白影が主人公だったから面白かったんで、ジャニーズの青影が主人公なら誰の記憶に残らない作品になったんでは? これは「河童の三平」も「悪魔くん」もいっしょですね。って、潮ファンだなぁ。ついでに潮書房も苦しいらしいのでよろしくお願いします。

 テレビが危ないとはいえ、出版はさらに危ないという足もとを見ていない書き込みでありました。

>Takaishiさん、Peteくん
あ。長いことレスも付けずに失礼しました。なんかね、最近更新するタイミングがエイヤッという感じでやらないと、なかなか自分のブログさえ覗かなくなってしまうもので、ずっと放置プレイになってしまうこともありますが、お許し下さい。

Takaishiさんのコメ見て思い出しましたが、そういやありましたよねえ、立体映画。赤と青のセロファンが貼ってある眼鏡をかけた経験のある人間は、もう前期高齢者に近づきつつあるのでしょうか(^_^;)。「くらま」は僕のブログを読んで行きたくなるような店の書き方をしているかどうかはなはだ疑問なんですが、もしお立ち寄りになれそうならぜひぜひどうぞ。てゆーかあそこは、店主の親方や吉田兄つながりで、東京、大阪、鹿児島、はてはオーストラリアなどから時々やってくる人がいます(^_^;)。もし機会があれば、ぜひ飲んで歌って楽しい夜を過ごしたいものですね。

Peteにそういや伝言。近々電話しようと思ってたけど、26日東京で宴会やります。もし調子良さそうなら飲まない? 続きはウェブで……もといっ、メールor電話で。

単なるファンに暖かい御返事ありがとうございます。
チャンスがあれば、近くに宿をとって泊りがけで「くらま」へ
うかがいます。

(ノーコメで結構です)

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