オバマ・ウィーク
今週はもう、週明けからオバマ・ウィーク。いいっすね、宗主国の方は。何か本気で盛り上がれて。テレビだって朝から就任式の様子とか、オバマ夫妻のダンスだとか流しまくり、実際てらいもなくああいうことやって、しかもちゃんと絵になってるのはさすが。それに比べてうちの親父は、なんて思い返せば出てくるのは溜息ばかり、ってな気分がいまの大方の日本国民の状態だろうか。
これじゃあまりに植民地根性でバランスが取れないと思った電波芸者の中には、いや、大統領がオバマになったからって楽観なんかできない、アメリカ経済はますます底なしだし、国際問題一つ取っても難問は山積してると釘をさすのは忘れないが、現時点でそれらの言説は単なるやっかみにしかとられんわな。んなこと当たり前の話で、それは自民党が滅茶滅茶にしてくれたこの国の政治を、彼らの後に担当するのが誰になったとしても大変なことであるのと変わりなく、その意味では僕は合衆国の大統領がオバマさんになったからって、世界が平和になるとは思ってもいないし、日本の民主党(ややこしいな、この言い方)が政権をとったとしても、それ以上にさらにまったくもって何の期待もしてない。
それでも現時点でのアメリカ国民に対する僕のうらやましさは、未来は結局どうなるかわからないにしろ、何かの潮流が変わるチャンスを、彼らは自分自身の手で手に入れたということだ。文字通り、チェンジを望んだんですな。もちろんそれはもしかしたら結果的に暗転するチェンジになるかもしれないし、人は空を見上げて氷ばかり掴んできた度し難い歴史も経験している。ただ、ほんの数十年前まで選挙権も持てなかったような人々に属する流れの人物が大統領に選ばれる時代が来るとは、さすがのキング牧師だって百年以内にそんな光景が見られるとは思ってもいなかったんじゃないか。アメリカは変わるかもしれない。それもいい方向に変わると思ってなきゃこんなに盛り上がるわけはないんで、内外にそのことを知らしめる最も効果的な宣伝戦略を、とりあえずアメリカは成功させた。
ハリウッド映画がアメリカの代表的な文化産業であると同時に、自国民または海外に対する半ばサブリミナルな啓蒙啓発的側面を担っていることは周知の事実である。だから僕は、モーガン・フリーマンが大統領になった頃から、この国はいずれ黒人大統領を作るつもりだなという予感はあった。ヒラリーが本気で大統領になる気なら、その数年前からハリウッドに手を回して、女性大統領が活躍する映画を作っておくべきだったのだ。多分、数年以内に出てくると思うけどね。ただし、これはきっと誰でも言うだろうけど、今回のオバマ大統領実現には米国で大ヒットしたテレビシリーズ『24』の影響も大きいと見る。
『24』の第1作は史上初めての黒人大統領が生まれるところから始まる。と言っても、シーズン1は、その大統領選の最終日か何かにその候補に暗殺計画が仕組まれているという発端から始まるのだが。シーズン2と3では完全に大統領として登場し、この大統領がまあ、かっこいいんだ。もちろん主役はかのジャック・バウアーで、これがどんなキャラかといえば、最近はどきどきキャンプがネタでやっているので、『24』を見てない人もあれを見れば何となく分かるようになっている。あいつらのあのキャラ造形は、概ね正しい。
バウアーの話はともかく、彼と深い友情と信頼で結ばれることになる黒人大統領は、このシリーズ初期の一方の主役である。正義感が強く、信念に基づいて行動し、いろんな問題に苦悩しまくるが、決断すべき時は断固たる決断を下す。いかにもアメリカ人が好みそうなキャラで、これを黒人という設定にしたのがミソ。僕はいまから思えば、明らかにこれは狙いだったなと思う。アメリカ人はある意味、日本人以上にメディアで動く。さらに彼らは日本人と違い、人品卑しそうな人物を基本的には自分たちの指導者として支持しない。そのかわり公正な決断力を持っていそうだとなれば、たとえ白のガンダルフでさえ、大統領候補にしろと叫ぶ人たちが出てくる。もう30年くらい前の話だが。
話を戻せば『24』でさんざかっこいい黒人大統領を描き、しかもそれが大ヒットして何となく黒人大統領、いいじゃんという気運が醸成されているところに登場したのがオバマ候補だったというわけだ。しかも本人の演説も、ドラマの大統領並みにかっこいい。高い理想と希望を呼びかけて国民の喝采を浴びる。このへんも、曲がった口を開けばろくでもないことしか言えないどこかの国の総理とは大違い。もしかしたらマケイン側の敵失ともいえる副大統領候補だって、あれはひょっとしたらアメリカ史の流れにおける空気をマケインが読んで、わざとあんな風にしたんじゃないかとさえ思えてくるほどだが、まあ、かくしてオバマ大統領の登場は、半ば予定されていたことだったというのが僕の結論。
ちなみにいま、ATOKでそれぞれの候補や過去の大統領名を変換してみたら「おばま」は小浜、小濱、尾浜の三つしか変換候補がなかった。バージョンは堂々とATOK2008なんつっとるくらいで、確か去年か一昨年の秋頃に買い替えているんだが、その頃はオバマ候補なぞ、ATOKにはまったく眼中にない存在だったのか。ちなみに「ひらりー」は、ちゃんと「ヒラリー」と変換できる。「くりんとん」は「クリントン」。ブッシュも当然。あるいはレーガンもニクソンも、ほぼ記憶にある歴代大統領の名前は全部一発で変換できるというのに。ま、これは次のバージョンで当然修正されてるだろうけど。
試しに「まけいん」の方はどうだろうか、変換してみたら一発で出てきたのが「負け院」。……負けるわな、これはな。
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