確かに当たり外れはある
三池崇史という監督は、その特異な作風もあって、ちょっと前までは異才とか奇才というイメージで語られることが多かった気もするが、僕の印象ではむしろ昔ながらの、つまりプログラムピクチャーなんかをこなしていた頃の職人監督タイプなのではないかと最近思うようになってきた。その手の職人監督って、当たり外れは恐ろしく激しい。
なぜなら職人は脚本そのものが陳腐かどうかなんてあまり気にせず、どんな作品だろうと必ず一応の映画にはするからで、こういう人は仕事さえあれば極道ものだろうがホラーだろうがガキ向けだろうが、まったく頓着なく撮りまくれる神経を持っている。要は、その作品を要求する客のレベルに合わせた作り方をするという割り切り方がはっきりしているのだ。
三池監督を例に取れば『妖怪大戦争』などという、いったいどの層を狙ったのか理解不能なおめでたい映画を撮ったかと思えば、『ジャンゴ』なんてその方面が好きな人間にはたまらなく遊び心満載の映画をさらっと撮ったりするのは、やはり筋目正しい職人技を持っているからこそできることだと思う。つまり『ジャンゴ』の客層は僕も狭いと思うが、でもその層に入る人間を喜ばせることができるということは、『妖怪大戦争』や『ゼブラーマン』だって、あれを楽しめる客層というのは確実に存在していたのかもしれない。
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