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2009年10月

確かに当たり外れはある

三池崇史という監督は、その特異な作風もあって、ちょっと前までは異才とか奇才というイメージで語られることが多かった気もするが、僕の印象ではむしろ昔ながらの、つまりプログラムピクチャーなんかをこなしていた頃の職人監督タイプなのではないかと最近思うようになってきた。その手の職人監督って、当たり外れは恐ろしく激しい。

なぜなら職人は脚本そのものが陳腐かどうかなんてあまり気にせず、どんな作品だろうと必ず一応の映画にはするからで、こういう人は仕事さえあれば極道ものだろうがホラーだろうがガキ向けだろうが、まったく頓着なく撮りまくれる神経を持っている。要は、その作品を要求する客のレベルに合わせた作り方をするという割り切り方がはっきりしているのだ。

三池監督を例に取れば『妖怪大戦争』などという、いったいどの層を狙ったのか理解不能なおめでたい映画を撮ったかと思えば、『ジャンゴ』なんてその方面が好きな人間にはたまらなく遊び心満載の映画をさらっと撮ったりするのは、やはり筋目正しい職人技を持っているからこそできることだと思う。つまり『ジャンゴ』の客層は僕も狭いと思うが、でもその層に入る人間を喜ばせることができるということは、『妖怪大戦争』や『ゼブラーマン』だって、あれを楽しめる客層というのは確実に存在していたのかもしれない。

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眠気が渋みに替わるお年頃(^^ゞ

人や自然の映像を綺麗に撮って、その心地よさに映画館へ行くとたいてい途中で寝てしまう作品だったという印象しかないジェームズ・アイボリーの『ローズランド』をWOWOWで放映していたので、飯を食いながら鑑賞。製作年は1977年になってる。もう30年以上も前なんだ。僕がまだ大学生だった頃じゃないか。

作品はニューヨークのダンスホール「ローズランド」を舞台に、ここへ踊りに来る老若男女のそれぞれの人生の断片を描いた3話オムニバスもの。オムニバスとは言っても、ここで働くレッスンコーチの女性を狂言回しに、物語自体はシームレスに続いている。オムニバスってこの頃まではけっこうよく目にした形式だけれど、最近はあまり印象に残るものを見た記憶がない。

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業務連絡

なにしろいまも煮詰まってるので、久々にテンプレ変更に踏み切りました。晶紀です。もとい、秋です。秋の食材です。でも、冬はもうすぐそこに迫っているので、暮れとか正月を越えた辺りから、いまさらカボチャでもないよなあとか、そろそろ模様替えした方がいいのでわとか、そういう余計なお節介コメントは基本的に受けつけませんので、あしからず。そういうコメントがつくと、ああっ、ブログのテンプレも変更せねばだわあっとか、多分その頃はいまよりもっと煮詰まってるはずなので、そんな状態の時にそんなしょーもないことを頭の片隅にはひっかけたくないためでもあります。

ちなみに今日は日曜に見たTBSの「仁」が意外と面白かったという話をしようかと思ったのですが、いまボロカスに時間に追われているのでそんなことをのんきに語るわけにもいかず、仕方ないので東京出張中に書いていた日記に多少手を加えて、御茶を濁すことにします。というわけで、またまた時間は相前後しますが、必ずしもこの記事が最新とは限らないので、ご注意下さい。以上、業務連絡。

どーせならメリケンファックが見たいかも

10月12日 レンタルDVDにて鑑賞

『少年メリケンサック』は、ずいぶん前に映画館で予告を見て以来、見たいと思っていた作品。理由の最右翼は宮崎あおいちゃんが主演しているからだが、もちろん宮藤官九郎監督・脚本という部分も気になっていた。

結論から言えば、僕の中のクドカン伝説も終わってしまった、というべきか。ひところ、クドカン脚本ならば外れがないみたいな言い方をされた時期があったけれど、はっきり言って僕が彼の脚本で面白いと思ったのは『タイガー&ドラゴン』が一つの分水嶺。以降の作品で感心したものは記憶にない。

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彼女の最後の『接吻』の意味は?

10月9日 WOWOWで録画していたものを鑑賞

『接吻』は小池栄子主演。冒頭、豊川悦司が住宅街をふらついて、たまたま玄関の鍵が掛けられてなかった家に入り込み、一家三人を次々に惨殺してしまう事件の描写がちょっと恐い。いや、殺人場面はまったく出てこないのだが、トヨエツがその家に入った後、カメラの構図はその家の玄関に固定され、夕方に小学生の娘、夜にサラリーマン風の父親がそのドアに入ったきり、画面はただ静かな玄関が延々撮されているだけという表現。妻には家に入ったら絶対に玄関の鍵をかけ忘れないよう念を押しとかねば。

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台風五郎クラブな夜

いま8日の深夜2時。ええ、もちろん起きてますともさ。だって、伊勢湾台風以来の台風が本州のど真ん中、この滋賀県の真上を通過するかどうかって瀬戸際である。血が騒いで寝ようにも寝られないってものだ。

一応最初に断っておけば、強い台風が日本を襲うたび、規模の大小はあれ様々な被害が出る。今度の台風だってもしかしたらまたどこかで死者が出るかも知れない。だから人によって不謹慎な表現になることは承知の上での話だけれど、僕個人の記憶で言えば、子どもの頃、僕にとって台風は一種のスペクタクルな娯楽だった。

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続々東京滞在記 覚醒剤の喫茶店

■2009/09/30(水)
この日はほぼ終日、ホテルまたはその近辺で執筆。といっても、それほどさくさく筆が進んでいるわけではない。いやあしんどい。金曜に打合せのために小説担当の編集と会うことになっているが、このペースではどうやら彼と会うまでに、次の原稿を送る目途が立ちそうにない。

ま、そうなったらそうなった時だ。僕の座右の銘は、そのうちなんとかなるだろう by 青島幸男である。実際そうやって生きてきて、なんともならなかったことなどほとんどない。もしも本当になんともならない事態になったらその時は、これでいいのだ by 赤塚不二夫と呟けばいいだけである。人生に必要な訓なんて、この二つだけでたいてい間に合う。

昼間、食事&コーヒー一杯で何時間粘ってもだいじょぶそうな喫茶店を探して駅近くをぶらぶら。で、紀伊国屋書店裏のアドホックの隣にあるトップスビルの前に来て、あっと思った。なんと、トップスは廃業していた。

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