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どーせならメリケンファックが見たいかも

10月12日 レンタルDVDにて鑑賞

『少年メリケンサック』は、ずいぶん前に映画館で予告を見て以来、見たいと思っていた作品。理由の最右翼は宮崎あおいちゃんが主演しているからだが、もちろん宮藤官九郎監督・脚本という部分も気になっていた。

結論から言えば、僕の中のクドカン伝説も終わってしまった、というべきか。ひところ、クドカン脚本ならば外れがないみたいな言い方をされた時期があったけれど、はっきり言って僕が彼の脚本で面白いと思ったのは『タイガー&ドラゴン』が一つの分水嶺。以降の作品で感心したものは記憶にない。

『メリケン』も発想としてはこういう話、けっこう僕好み。内容はユーチューブで人気が盛り上がってる無名のパンクバンドに目を付けたレコード会社の社長が、クビ寸前のデスパレート社員あおいちゃんに命じて、彼らをメジャーデビューさせようとする。が、実はユーチューブに誰かがアップしていた映像は20年くらい前のもので、とっくに解散していた彼らは、それぞれ日雇いやら農家やら障害者やらをやってるただの中年オヤジでギターさえまともに弾けなくなっていたと。だがすでにプロジェクトは進行していて後に引けなくなった会社は、あおいちゃんにマネージメントさせて、再結成した彼らにライブツアーを敢行させるという、ある種のロードムービー。まあ、こういうパターンが好きな分、元ネタ的な洋画のタイトルも二つ三つ思い浮かんではしまうが。

それなりに音楽好きな人間にはくすりとできる部分もあるのだろうが、さざ波程度で大きい波になってこない。こういうパターンで話を進めるならエンターテインメントとしては、クライマックスの爽快が絶対に欲しいところなのだが、それもなんだかぐだぐだして終わる。脚本のテンポ、キャラ造形の深み、全体の構成、さらには作品自体から立ち上ってくるメッセージ、というと誤解を招きそうなので、つまりその作品を見てこちらの心を揺り動かす何かということなのだけれど、それらが何一つ感じられない。僕にとってはあおいちゃんの怪演以外、見るべきもののほとんどない作品であった。

三谷幸喜と同様、僕が大喜びした作品を書いた実績もある作家だから、いつかまた書くかも知れないと期待はするが、三谷さんに続いてこの人もブランド買いはやめた。というわけで公開前は秘かに期待していた『カムイ外伝』も見に行くのは保留。まあこれはクドカンだけのせいでもない。スポットCMをちらっと見たが、あの凄まじい展開と内容を持つ物語をあの程度のアクションで語ろうとしてるなら、もしかしてこれは全体も相当やばいのではないか、という勘が働いただけである。二度と『どろろ』みたいな映画は見たくないしな。

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