またやりゃあがった…。
いまさっきM1を見終えたばかり。今夜は合気の練習に行こうと思っていたのに、夕方から咳が出て体がだるくなり始めたものだから、大事を取って休養。かわりにこたつに入ってM1観戦してた。ついつい修行よりも安楽を選ぶ俺。だってほんと、冬場の体育館、裸足でうろうろしてみ。感覚なくなるから。そういうことやっていいのは、せいぜい高校生まで。
で、M1の話。
今年は去年と違ってそこそこネタのツブはそろっていた。少なくとも予選の準決勝では妥当な展開、つまり最初からこれくらいはやるだろうなという連中は、ほぼみんなそれくらいの力を出していた。だから審査結果は、各コンビのいまの実力がそのまま反映される順位になったのではないか。
トップバッターのナイツも悪くはなかった。彼らが決勝に進むかどうかのボーダーになるなと思っていたらその通りになって、初見のパンクブーブーというのが2位に食い込んだおかげで、決勝は笑い飯、パンク、ノンスタイルという順になった。
前にも書いたが僕は初登場以来、笑い飯のファンである。今回予選で最高得点を出してトップになったときは、さほど大きな番狂わせもなく、流れも本格漫才の掛け合いの巧みさが今年は評価される傾向になっているようだから(その流れでなければ、ボーダーは南海だったと思う)、多分、決勝もこの形のままになると踏んだ。
ようやく、8年目にしてようやくこいつらの優勝を見られるのかと。予選のネタがかなりいい出来だったものだから、妻にもやっとこいつら本気で取る気になったみたいだぜと言っていたのだ。だいたいこんなやり直しの利かない大会に8年も最終予選まで出続けて、一度も優勝しないということの方が難しい。今年が彼らにとって最後のチャンスでもあるし、オチは彼らが優勝して終わるという筋書を、十中八九予想していたのだが。
甘かった。予選の最高点のおかげでトリという絶好の位置につけながら、笑い飯はやはり笑い飯であった。ネタの後半、こいつらはまたも自縄自縛ネタに走り、しかもラストは延々とちんぽちんぽと叫び続けた。生放送だというのに。それを見ながら僕はテレビの前で、ああ、こいつら、またやりゃあがったと呟いた。
パンクブーブーの名前は聞いたことあるが、どんな漫才をやるのか知らなかった僕は、予選のネタを見て、これなら笑い飯の敵ではないと思った。実際、得点も1位と2位でずいぶん開いた。ところが、決勝のネタの出来、これがかなりよかったのだ。これは笑い飯も楽勝とはいかんかもしれんなと危惧していたら、案の定。決して受けなかったわけではなく、それなりに爆笑も取っていたが、決勝を取る破壊力には遠く及ばないネタであり、あげくの果てにちんぽじネタである。そうか、少なくとも今年、こいつらは確信犯でやってんだと悟った次第。
毎回、必ずというわけではないが、僕がM1決勝を見続けるようになったのは、いままでそんなに面白いとも思わなかった連中が、決勝の最終戦の時だけ、まるで神が降りてきたかのように面白くなることがあるからだ。それは本当に、神々しいともいえるくらいの体験で、これが見たいがために僕はM1を見ていると言っていい。
だから去年のノンスタイルの優勝は、僕にはあまり納得できるものではなかった(ただし、今年も再挑戦して敗者復活で上がってきた彼らの漫才は、去年よりも遙かに面白くなっていたが)。一回目の中川家の優勝は、もちろん納得できるものだったけど、あの大会に関して言えばまったく下馬評通り。つまり当時の若手ラインナップの中で、彼らの実力はすでに群を抜いていて、決勝も彼らは普段通りの漫才をやっていたに過ぎない。
僕が覚えているのは、たとえばフットボールアワーが優勝した時とか、チュートリアルが優勝した時。この時の決勝は、本当にこいつらいま神が降りてきたなという瞬間がありありとわかるくらい、爆発した。それでいえばもう4、5年前くらいになるか、笑い飯が優勝してもおかしくなかった唯一のチャンスは、ブラックマヨネーズとのガチンコになったときである。3組目がもう誰か忘れてしまったくらい、あの時はこの2組が突出していた。
あの決勝で僕は、ひいき目もあって笑い飯にも勝算があると思っていたが(実際、彼らが決勝ネタで手を抜かずに笑いまくれたのはあの時だけだった)、実は神が降りたのはブラマヨの方だった。正直、ブラマヨの漫才をそれまでよく知らなかった僕は、あの決勝で腹がよじれまくるほど笑った。あの時の笑い飯は、神を相手にして敗れたのである。
以来、彼らはM1決勝で、一度も神に愛されることのないままついにラストチャレンジの機会を迎えた。予選の得点では紳助なんか彼らに100点を出しているのだ。なのに決勝であのネタ。なんでそんなことするんだと、いままでにも言いたくなることは何度もあったのに、今回、逆にちょっと見直してる自分もいる。つまり、彼らは結局最後まで、神に媚びない道を選んだのではないか、とも思えるようになってきたからだ。
なんだか自分たちのスタイルは頑固に貫いたままで、なおかつ実力の厚みはちらっと見せる。計算してやってるならずいぶんしたたかだし、やはり並みの腕でできることではない。ああ、でも来年からはもう、彼らの漫才を決勝で見ることはできないんだよな。かなり寂しい。
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