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いまさらの話ですが(^^ゞ

この冬期のテレビ、見事にどれもこれも外ればかりで、結局連続して最後まで見た番組は『隣人は静かに笑う』…じゃなかった、『美しき隣人』一本だけであったが、ま、一つでもちゃんと見た番組があったのは和製ドラマの現状を考えればまだしもであった。

 

もちろんドラマ中毒の僕がテレビドラマを見ていなかったわけではなく、従来通り見続けていたのだが、京都テレビで放映していたのをきっかけにDVDでレンタルして見始めた『風の絵師』を別にすれば、毎週オンエアを楽しみにして待っていたのはBSでやっていたキャロル主演、なんて彼女を見てパッと出てくる名前はいまだに『ER』で彼女が演じていた役名の方になってしまうジュリアナ・マルグリースの『グッド・ワイフ』と関西テレビの深夜にやっていた『ROME』くらいだ。いずれにせよみんな海外ドラマじゃん()
 

『風の絵師』は韓国時代劇、懲りもせずに李朝何代目かの名君と呼ばれた王様の時代を舞台に描く歴史もので、当初はまた王朝ものかいと、さすがにもういいかげん飽きたわと思っていたものの、なるほど向こうも最近の王宮ものはそれなりにあの手この手の変化球を投げてきて、しかも今回の主人公の設定がいきなり胸ぐら掴まれるほど魅力的かつドラマチック。なるほど、こういう手できたかとついうならされてしまい、最初は何の予備知識もなくたまたま録画してつまらなきゃすぐ消そうと思っていたドラマだが、結局最後までつきあうことになってしまった。

 

しかもこれ、テレビで放映を見たのは2話目からで、僕は別にそこから見てもいいやと不都合は感じてなかったが、試しにこの録画を妻に見せたらモロハマリしてしまい、どうしても1話からちゃんと見たいと言い出すので、面倒だなとは思いながらも仕方なくレンタルで借りてきて1話から見たら、何とオリジナルは1時間20分もある長尺のドラマだった。テレビで放映しているのは1時間枠。つまり正味は40分そこそこしかない。テレビ版は半分くらいカットされたものをしれっと放映していたのだ。

 

これ、昔だったら京都テレビに絶対クレームの電話していたな、俺。いまは年も喰ったし、めんどくさいので(しかも放映終わっちゃったし)そんなことしないけれど。しかしこれはせめて番組冒頭に一言、これから放映するのはダイジェスト版のようなものだと断りを入れておくべきだろう。なにしろ5分や10分のカットではないのだ。5分や10分のカットなら許されるなんて問題でももちろんないが。

 

それでもダイジェスト版でさえ、昨今の日本の陳腐なドラマよりは数等面白く感じたから見るようにはなったが、視聴者に何の断りもなくこんな大胆な改変を行なうのは、作品に対する敬意もへったくれもあったものではない。そりゃ1話の長さが日本の放映習慣とは著しく異なる韓国ドラマのことだから、日本の番組枠に入れづらいという事情もわかるが、こういうものを見せられた視聴者は、もっと抗議の声をあげてもいいと思う。

 

ただまあ、実はこの作品も、韓国ドラマにありがちな終盤になるにつれて中途半端になっていくという呪いのような展開に、危惧した通りおちこんでしまって、いま一つ声を大にして他人に勧めたくなる作品には最終的にならなかったが、考えてみれば韓国ドラマ、どれほど面白いと思ってのめりこんでも、最終回で身も心も浄化されるようなクライマックスをいままでに一度も見た覚えがない。ま、僕は韓国の現代ドラマは見たことないので、時代劇限定の話だけれど。

 

そんなこといっても、考えてみれば日本唯一の歴史ドラマ風時代劇、最近はすっかり時代劇コントになってるようだが、ともあれそんなNHK大河ドラマだって、ずいぶん長い間そんな最終回を見せられた覚えはない。だからその終盤の展開に多少目をつぶりさえすれば、この『風の絵師』、僕はいままでに見た韓国ドラマの中で最も面白い。笑わせ、泣かせて、はらはらどきどきさせる。こんな話を僕も書きたい。しかも歴史に材を採っていながら、大胆な発想で史実に解釈を加え、どうせ史劇で嘘をつくならこういう風につくべきであろうという、どこかの大河ドラマの脚本家に爪の垢でも飲ませたいくらいの気持ちになったものである。

 

史劇ということでは、史劇の定義をとりあえず実際の歴史上の事件・人物に材を採り、あるいは話の根幹に関わる部分に組み入れて展開する物語(フィクション)だとすれば、関西テレビの深夜にやっていた『ROME』も面白かった。こちらも放映時間は1時間を超えていたけど、これは深夜の時間帯ということで柔軟に対応していたようだ。ま、これが当たり前の態度だが。

 

実はこれ、去年か一昨年かにWOWOWで放映していて、制作は確か『バンド・オブ・ブラザーズ』や『パシフィック』と同じとこだから、そのクォリティの高さはある程度折紙付だったものの、あの頃は特にローマ時代に興味なんかなかったし、チャンネルを回してチラ見しようとさえしなかったものである。幸い、かどうか、これだけ日本ドラマの不作が続くと、道端の雑草でも何でもいいからともかく生えてる物は喰ってみようという気になって、試しに喰ってみたら意外とうまかった、そんな感じだろうか。

 

簡単にストーリーを紹介すれば、この物語はシーザーの台頭から暗殺、その後の権力争いを経てオーガストゥスが初代皇帝として権力を握る直前までが描かれる。ローマもギリシャもよくわかんない世界史苦手人間の僕が、深夜の暇潰しに見始めるや、2~3回くらいの時間はかかったが、徐々に引き込まれ、しかもその吸引力は後半になるに従ってぐいぐいと強くなっていった。『風の絵師』のように一発で虜になったと言えないのは、これは決して誰にも食べやすいと言えるドラマではないからだ。物語自体にも、また画面の作り方そのものも非常にあくの強い個性を感じさせる。

 

ただハマってさえしまえば、まあ、単純な善人は一人として出てこないこの物語の中で、男女を問わずどいつもこいつも生きるために、あるいは権力を握るためにぎらぎらと脂ぎった欲望と謀略をぶつけ合う様は、ときに胸くそが悪くなるほど面白い。歴史ってこうかもしれないと思わされる部分もあるし、少なくとも日本のどこかの大河ドラマのように、争いのない世の中を作るためになんて眠たいことを言う権力者など一人も登場しない。ま、日本の大河ドラマは作品の作り方から判断する限り、近年明確に対象年齢を中学生以下に下げてきているみたいだから、それはそれでいいのかもしれないが、歴史とは田嶋先生も喝破した通り、大人の男の物語なのだ。

 

それで言えば『ROME』は間違いなく大人向けのドラマである。セックスや殺戮の描き方だけの話ではなく、ここで描かれる物語自体が大人の鑑賞に堪えうるドラマだと、久々にそんな言葉が僕はこの作品を見ていて脳裏に浮かんできた。昔はよくしたんだけどね、こういう言い方。最近あまり聞かないのは何でかな。もしかして、日本のドラマがほとんど大人の鑑賞に堪えられなくなったからなのか?
 

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