そして今年も半分が過ぎ
3日前。
FBのおかげで最近交流が復活した東京の友人から、FB経由でメールが届く。それは共通の知り合いであるOくんの死を報せる内容だった。死因はどうやら心筋梗塞。一人で、自分の部屋から救急車を呼んだ直後に倒れ、そのまま帰らぬ人となったらしい。
僕は1985年の阪神優勝を機に会社を辞めてから、なにしろいきなりシナリオで喰えるわけもなく、ほんの一時期、B書房という会社で仕事をさせてもらったことがある。それまで僕がいたS出版という会社は、エロ本の王道を行くような会社で、僕らはまさにエロ本界の紳士たれという規範のもと、堂々としたエロ仕事をしていたわけだが、具体的にこれがどういうことかといえば、お上には決して逆らわず、警察(風紀係)とは友好な関係を保ち、ヤバイ噂のある作家やカメラマンやモデルクラブは決して使わず近づかず、企画は常に2番手を目指して、トップに絶対立つことなかれという精神は社訓のようなものでもあった。
ところがこのB書房は当時、ゲリラ的な出版企画で勢力を拡大し、SさんとNさんという2大スター編集者を擁して、ある種、業界の台風の眼のような存在になっていた。当然、S出版とはスタイルも文化も違う。僕はここの編集部に出入りするようになってから、S出版とは違う温度の高さに、正直、悪酔いしそうになった。
以前にも書いたが、S出版の編集部はぱっと見、普通の事務系のオフィスとそんなに変わらない。それぞれが手元で扱ってるのは女が縛られてたり、男がしごきっこしたりしてる無修正ポジだったりするのだけれど、まあ、そこにいるのは普通の大学を卒業してきた普通の男だ。たいていはね。
これに比べB書房は濃かった。編集部の雰囲気もそこに出入りしてる連中も、何かヤバイ匂いをぷんぷんさせてるのがそこら中にいた。だから出す本もけっこうヤバかった。ただし、このヤバイは決して犯罪的なという意味ではない。ま、中には多少そういうニュアンスもあったかも知れないが()、よく言えば、Bが出す本には企画面でも雑誌のコンセプト自体も刺激的な本が多かった。
まあ、このBとSの違いについて書けば、80年代のエロ本がもっとも元気だった時代の文化史をそのまま語ることにもなろうが、それはいったん置くとして、Oくんは当時、このB書房に出入りするカメラマンだったのだ。
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