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おめでとう、なでジャパ!

なんてことを言ってみたりすると、ちょっと自分もいま流行りのアレに乗っかってますな感じがして、僕はいままで世間の風向きとは意識的にあまり影響を受けないようなところに身を置いてきたつもりではあるが、今回、こんなタイトルを付けて今日の朝、日本のブログ界やついた界に氾濫してるであろう「おめでとう」などという言葉をこちらも使うことにより、ああ、やっぱり流行りのアレに乗っかるって、楽なんだなあと再認識した次第。
 
みんなが言ったり書いたりしてることと論調を合わせておけば、とりあえず自分の頭でものを考える必要などない。これは相当に楽なことだ。たとえば球場へ観戦に行って、向こうの端から順番に立ち上がってきたから、つい、自分も流れに合わせて立ち上がってみたりする、あの心理とさほど変わらない。何の意味もないとわかってるのに、あそこで立ち上がらないことにはかなりの意思の力を必要とするもんね。大切なのはタイミングのみ。だから一時期、若い人の会話で「空気」なるものが重視されたりしたのか。
 

ま、僕はたまたまリビングで仮眠していて、ふと目を覚ましたらもう朝の6時頃で、おおそう言えば、今朝は女子サッカーの決勝をテレビで見られる日ではなかったかと気づいてスイッチを入れたら、いきなり延長後半で日本女子チームがゴールを決めて同点になったところだった。試合展開を後から見れば、彼女たちは最強の敵アメリカと実に素晴らしい試合をしていたようだが、なにしろこちらは寝起きでいきなりの場面である。てっきりそこで日本が勝ったのかと勘違いしてしまった。もちろん結果的には同じことだったとしても、最初からこの試合を見ていたら本当に手に汗握る、スポ根漫画のクライマックスに持ってきたいような名勝負だったに違いない。
 
とはいえ僕は、最初から彼女たちの戦いを応援していたわけではないし、これは日本中でいまなでしこジャパンなどと言ってはしゃいでいる人もたいていそうではないかと思う。彼女たちは勝ち続けたから、つまり強かったから注目を集めただけの話であって、この日本女子サッカーチームを第1戦から追いかけているという人の割合は、果たしてどんなものだったろうか興味がある。もちろん僕も、女子サッカーがドイツで試合をしているなんて……そもそも女子サッカーにワールドカップがあるということ自体、数日前、日本がドイツを破るまでは知らなかった。
 
マスコミも日本女子がドイツを破るという大金星をあげたことで、情報バラエティ番組で扱い始めたのだ。ここでもまた、見事なマスコミの手のひら返しが炸裂している。もっとも彼女たちが何をなしてきたかを知られないまま帰国するような事態もありえたわけだから、国民の注目を浴びるようになったというのは彼女たちにも励みになったことだろう。
 
そんな冷めたことを言いながら、実は僕も今回の試合は結構感動している。決勝のアメリカ戦もそうだけど、このチーム、今回はけっこう逆転勝ちが多い。つまり、点を先取されても、あるいは終盤でリードされても、誰も諦めてなどいなかったわけだ。日本の政府にも、決して諦めない不屈の人がいらっしゃるようだが、この人の場合、1個もゴールを決めてない、あるいは決めたと万人に認められないシュートばかり放っていることが問題なわけで、彼女たちとはそこの値打ちが違うわな。
 
でもやっぱり根っこのところでへその曲がっている僕は、なでしこジャパンなんて大の大人が人前で口にする言葉じゃないとも思っているので、一応個人的には略して「なでジャパ」と呼ぶことにしている。人に聞かれたら「なで肩ジャパン」の略だよとでも嘯くことにしようか。なにしろ僕は誰憚ることのない撫で肩だ。
 

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