ああ、やっぱりなという話
あ、民主党代表選の話じゃないっす()
数日前にWOWOWで撮っておいた『縞模様のパジャマの少年』を見た感想。ああ、やっぱりな……というね。
第二次大戦下のドイツ、ベルリンで学校の友人たちと無邪気に遊んで暮らしていた少年は、ナチスのSS将校である父の赴任先に引っ越すことになるのだが、そこはどこか地方の田舎丸出しの場所で、しかも少年は屋敷から勝手に外へ出られなくなってしまう。多分、何か機密保持の問題とかあったんでしょうな。
当然、近所の住民との交流もなく学校さえ行けない。こんな環境で少年は孤独な日々を過ごすことになるが、そんな折、屋敷の裏庭から通じる森を脱けると、鉄条網で囲まれた農場らしき場所があることを知り、親にも黙って少年は好奇心からその場所に近づいてしまう。そこには鉄条網の向こうに、少年と同じくらいの年格好をした子供がいて、彼らは次第に鉄条網を挟んで心を通わす仲になる。ただ、鉄条網の向こうの少年はいつも腹を空かせていて顔色も悪く、なぜかずっと縞模様のパジャマを着ているのだった、と。
もうこれはね、主人公の少年が収容所の少年と出会った瞬間に、こんなオチだったら嫌だねえと思いながら見続けていたら、本当にそんなオチだったので、これを映画館で見てたら『火垂るの墓』以来の真っ暗な顔して外に出なきゃなんなかっただろう。
これと似たような後味感に、『パンズ・ラビリンス』という映画があるけれど、あれは確かスペイン内戦時の話。ダーク・ファンタジーとか銘打った宣伝文句がどこかにあったが、この『縞模様』もある意味、そこそこダークなファンタジーともとれる。
『パンズ』と違ってこちらには妄想やイマジネーションの入り込む余地はなく、一応ストーリーもリアルな展開に思えるが、しかしこの映画の中の世界は美しい森の中に忽然と現われる収容所の風景などを見ても、どこか警句の含まれた昔話を見るように非現実的だ。たとえばミダス王とか、地獄変とかの物語を思い出したりもするわけだが、考えてみればナチスの一民族抹殺計画そのものが、どこかの酔っぱらいが呟いたたちの悪い冗談みたいなものだ。
物語として面白いかと問われれば、まあ、好き好きでしょうなと応えるしかない。よくある、と言ってしまっては語弊があるかもだが、ナチの行なった犯罪行為の中でも歴史上に特筆されることとなった絶滅収容所にまつわる物語だ。この手のタイプの話が好きな人にはお勧めできる。
この話の中にはたとえば虐殺やナチの暴虐を直接的に描いた場面は一切といっていいほど登場しない。そのかわりにこちらのイマジネーションを刺激する演出がいろいろとられている。案外、こういうのはボディブローのように後から効いてきそうだ。
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コメント
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民主党の話やとおもた(笑)
最近は、最高の人生の過ごし方?(モーガンフリーマンの)見ました-
なかなか感動した-
投稿: 酒羅なぉ | 2011年8月31日 (水) 20時18分
>なおさん
あ。ほんとにコメント書いてくれたんだ。どもありがと。お店、忙しいですか?
書き込みの時間からみると、なんか暇そうだな()
映画の話は直接話しにいきゃいーんだけど、なにしろ忙しくてなかなか外に飲みに出かける機会もありません。残念
でもM・フリーマンのそれは、ニコルソンと共演した奴だね。確かこの間WOWOWでやってたけど、なんか食指が動かなくてスルーしてしまいました。君が感動したというなら、再放映の折りにでも見てみるかな。
ではまた
投稿: ujikun | 2011年8月31日 (水) 23時18分