酔いどれ男と泣き虫女
民主党の代表選はもう二、三日前の話になってしまっていていまさら感満載だけど、ま、せっかく前回の枕にしたことでもあるし、一応この日記はこの頃、どんなことがあったという記録にも後々なるので、こういう話題があったということくらいは触れておく。
てゆーか、二、三日前に朝のワイドショーウォッチャーの僕がチャンネルザッピングしながら探していたのは、自分の掘った穴に落ちて旦那もろとも死んでしまった新婚妻の話だったりしたわけで。だけどこの普通ならワイドショーが涎垂らして飛びついてきそうな話題が僕の知る限り、どこでも見ることができなかった(ま、僕も徹夜明けで疲れてたので、最後まで全部見たわけでもないが)のは、結局この民主の代表選のせいなのだったのではないか。
この際、はっきり言っておけば、民主党の代表が、つまりは日本国総理大臣が明日誰になって来週誰がやってようと、そんなことは別に事後報告でいいっすから。そんなことより、落とし穴で死んだ新婚夫婦の事件(?)、いやつまりはさ、そもそもなんでそんなことが起こったのかというあたりから、こちらの事情の方が民主党の代表選挙よりも遙かに僕には興味を引き、気になることであったというのが本音でした。悪いけど。
あくまで仮定でものを言ってるが、あの日に民主党代表の話題が一応はメインで扱われる話題になったことで一番ほっとしたのは、もしかすると友人親族それぞれの立場で差違はあるだろうけど、ともかくあの夫婦の関係者だったかもしれない。もちろん亡くなった人のいる話だから、からかってるわけではないし、本当に気の毒なことだと心から思っているが、この事件というか事故というか、よく経過も内容も知らずに報道される事柄を見る限りでは、あまりに痛すぎる話だからだ。
多分この奥さんは茶目っ気のある、かわいい感じのキャラだったのかもしれないなどと思ってみたりもする。ただ、たとえば新婚旅行で行った旅先で飛行機が落ちたとかゲリラに殺されたとかいう話なら、人は心から気の毒にとも思えるし、怒りや憎悪を向ける対象がはっきりする場合もある。でもこの事故は、誰にどんな怒りをぶつけていいのか、残された人も戸惑うだろうと、むしろ彼らの親の立場の心情により同情しているのは、こちらがそういう年代になってきたせいもあるか。
しかし僕がこのニュースを知って最初に思ったのが、この奥さん、あるいは彼女と一緒に穴を掘ったという友人たちも含めて、いい年をしていったいこの連中は何をやってるのかということで、これはまあ、そこそこいい年をした人なら似たような感想を持つ人も多いのではないか。亡くなった人を批難するつもりはないけれど、たとえばこれ、誤解を恐れずに言えば落ちて死んだのが当人だったからまだよかったようなものの(もちろん一緒に亡くなった旦那はやはり気の毒極まりないが、まあ、所詮愛の本質は一蓮托生だ)、もし掘った当人たちとまったく関係ない人間が落ちたとしたら? 何の面識もない新婚カップルが、あるいは長年連れ添った老夫婦が、こんな若者(?)の悪戯で命を落としたとしたら、いったい彼らはどうするつもりだったのか。
多分、何も考えてなかったのだろうとしか思えない。いや、何も考えてないからこそ、こんなことが出来るのだ。これは日本だけに限った話ではないのかもしれないが、とにかくいい年をした大人たちの劣化現象。あるいは大人とはまだ呼ぶべきでない者たちの増加が体感として感じられる今日この頃。一言で言えば、繰り返しになるがやはり想像力の欠如。こういう言葉しか僕には思い当たらない。
他人への想像力、社会への想像力、環境への想像力、そういった感覚が、もう機能的に欠損しているのではないかと思えるような人々の起こした事象は、近年枚挙に暇がない。50過ぎたオヤジが、また最近の若いもんはと唸っているわけではなく、たとえばどっかの地方テレビ局の方で話題を振りまいた「怪しいお米セシウムさん」のフリップを作った人は、確か50過ぎだった。もうね、老いも若きも日本人、何か壊れすぎてます。
民主党の代表選ですけどね。別に野田さんが総理になったからって特別な感慨はもう何もないけれど、強いて言うなら一部では海江田さんと前原さんの戦いになるなんていう意見もあったように、この二人が決戦に残るような展開だったら、もうこの国はお先真っ暗だったと思う。特に海江田さんね。この人、国会で泣いた人でしょ?
田中真紀子でさえ泣いたのは国会廊下だった。別に僕はマッチョ系の思想ではないがそれでも、人前で泣く男なんて最低だと思っている。僕はハイジがデルフリのお婆さんにあげようと思っていたパンが黴びていた話をしては号泣し、マシュウがアンにおまえはわしの娘じゃと応えるシーンを説明しては射涙するが、それはすべて妻の前だけでの話である。すなわち男が人前で泣いていいのは、本気で心を許した相手の前か、そうでなければ命乞いをする時だけだ。しかしこれから総理を目指そうという人が、命乞いの涙を流すような人間で、果たしていいのか?
言うなれば、これも大人の劣化現象の一つ。だから、こんな人を押さえて野田さんが勝ったのは、ある意味当然すぎる結果というしかない。僕がもし民主党の議員だったとして、誰が頭にそんな泣き虫を抱えたいと思うであろうか。まああくまで消去法での選択でしかないけれど。ところで総理になったらなったで、これからこの人に関する情報が暇潰しがてらいろいろとりあげられることになるのだろうけれど、さっそく飛び込んできたそんな暇潰しネタの一つ。
この野田さんという人は、一晩に日本酒一升はあけるという大酒豪なんだそうだ。で、ふと海江田さんと野田さんの代表決戦の絵を思い出して浮かんできたのが世良正則の出世作「あんたのバラード」のフレーズだったと。なんとか今日は無事にタイトルのオチまでもってこれたぜ。
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コメント
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本文と関係ないけど、お知らせ。
23日から公開する「モテキ」って映画を作ったので、是非ご高覧を。けっこう面白く仕上がったと思うので。
投稿: nakao | 2011年9月18日 (日) 22時03分
本文とまったく関係ないけど、この前、久しぶりによっぱらってシネストークyoyoに行きました。ゴールデン街は、3年ぶりくらい。
投稿: しゅう | 2011年9月28日 (水) 10時35分
コメレス遅れてすまんす。どうもね、最近ますますいろんなことが面倒になる周期が短い間隔で来るようになったみたいでね。も、年とかいう問題じゃないな、これは。……人格とかかな。
>nakao先輩
あれ、おまえさん噛んでるの? こないだ帰郷した弟の嫁さんにも話したんだけど、テレ東の最近のドラマのキレっぷりは群を抜いてると思う。ま、『鈴木先生』を見ての感想だけどさ。『モテキ』はドラマ版はちゃんと見てないので今度、DVDを借りて見るつもり。映画の感想はこれから書く(^_^;)
>しゅう大人
なにしろ去年の暮れから上京してないからね(T.T)。もしかしてそっちのゴールデン街3年ぶりって、その3年前に俺、からんでない? ま、なんにせよあんなところで飲む気になれるようになったのはよかった。今年も残り少ないけどなんとか年内に上京するので、久々に穴場巡りでもいたしませう。
投稿: ujikun | 2011年10月 8日 (土) 05時07分