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2012年1月

ま、ぎりぎりセーフかな(^^ゞ

今週の、もしかして先週の、というべきか、まあ例によって『カーネーション』の話ですが、糸ちゃんの不倫編、タイトル的に言えば「隠しきれない恋」の回、これはちょっとね、この週で無理矢理納めてしまったなという感じ。このドラマを見始めてから初めて、脚本が厳しいなあと思わざるを得ない展開が随所に見えて、もちろんそれでも民放がプライムにオンエアしているドラマのほとんどよりはこちらの方が面白いわけだけど、逆に言えばいままでの脚本が図抜けていた分、今週はちょっとアラが目立った、そんな印象のある週だった。
 
見ている人はわかるだろうが、この脚本、いままでも必要な場面以外の場面は徹底的にそぎ落とし、このエピソードもっと見せてよとか、このあとどうなったのかもっと見たいと視聴者が思うくらい、不要な部分はばっさばっさと切ってきた。そのシンプルさこそこの脚本の骨太さにも繋がっていたのだ。
 
つまりこの物語はそれだけヒロイン糸子の視線にこだわっているということで、糸子が実際に遭遇していないシーンはほとんど入ってない。作家としては普通ならおいしいシーンを入れたくなるのよ。勝さんが遠い戦地で星空を見上げながら「糸子」と呼びかけて息絶えるとか、お父ちゃんが旅館の布団で最後に一言「糸子」と呟いて死ぬとか、おじいちゃんが……もうええか。
 
だから僕らは糸子の感覚と同じ体験をする。親の死に目に会えなかったのも、同居してない家族なら普通のことだし、戦地に行った周りの男たちがことごとく死んでしまうという体験も、実際の戦地の様子はその場にいた者にしかわからないことだから、むしろドラマとしては極めて誠実な作り方である。ところが近年の日本のドラマはとかく過剰であることを旨とする。主人公はちゃんといるはずなのに、脇役のあいつはいま何をしてて、脇脇役のこいつはどこで何を考えてて、なんてことを細かく画面とセリフで説明するドラマがとにかく多い。
 
このドラマはその意味で実に丁寧かつ大胆な展開の緩急の付け方が名人級だとさえ思っていたのだが、さすがに今週はその上手の手から何かがダダ漏れしてた。これは好き嫌いや見方の違いの問題ではない。はっきり構成の失敗だろうと思える箇所が何カ所もある。2、3点、僕が感じたことを述べておく。
 

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「朝ドラ」から「ドラマ」へ

年が明け、いよいよ戦後編が始まるかと思ったら、物語はずっと戦争を引きずったまま進んでいった。もはや中途半端な展開など読めない『カーネーション』。いままでもこの作品は数々のNHK朝ドラ的なお約束を幾つも破ってきたが、ついに今週は糸ちゃんが、奥さんのいる男性との恋に突き進む展開が描かれる。
 
前にも書いたが、朝ドラというジャンルはある種のエキシビションであって、脚本の出来やら役者の演技力やら演出の切れを問うような類のものではない、むしろ問うちゃいかんものだと長いこと思っていたから、僕自身は自分から見ようと思って見たことなど、この30年以上なかった。もちろん作品によってはたまに、3ポイントのうちどれかが、あるいはそれとこれはそこそこ頑張ってると言いたくなるものもある。でもそういう場合はたいてい、クリアできてないもう一つの要素が残念過ぎる場合がほとんどだ。
 
それでもどこからか高評価が聞こえてきたりすると、商売柄やはり気になるのでちらちらと見ることになる。見たはいいが、やっぱりぬるい物語と鬱陶しいヒロインのキャラに我慢がならず、ご都合な展開を突っ込んだりしたが最後、意外と朝ドラファンだったりする妻に冷たい目で無視されたりするので、もう黙っているしかない。いささか偏見の混じった僕のイメージだが、どうせ微温的な予定調和のドラマにけなげなヒロインが頑張っていろいろする話だろ、というのが僕にとってのだいたいの朝ドラの定義だった。
 

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しまった。『運命』見逃した(T_T)

昨夜は久々に、かつ年が明けてからは初めての合気の稽古に参加。まだ物理的にも精神的にもなかなか腰を落ち着けて練習できる状態ではないけれど、最近は練習者も意外と増えてきていて、僕なぞは何年も前から練習を始めているのに、熱心に毎週通っている人がいればすぐに抜かされてしまう、そんな危機感も多少は影響している。
 
まだ真冬の寒さではあるし、どの程度体が動くか少し心配ではあったが、剣の素振りから入ってものの5分も型の練習を始めているうちに、いつしか体はほっかほか。原稿の続きをやらねばならないから早引けしようかと思っていたのに、あっという間に2時間近くが経過して、結局最後まで練習につきあって帰ってくる。
 
帰ってきて、あっと思ったのは先週、毎回見ようと決めたばかりの『運命の人』を録画せずに家を出て行ったことだった。時計を見れば9時45分、もうほとんど話は終わっている。仕方ないのですぐにテレビをつけてケツの部分と来週の予告だけ見る。
 
ただでさえ日曜は録画番組が多くNHKの『イ・サン』にWOWOWの『贖罪』、アニメの『へうげもの』まで見とるからね(^^ゞ。仕方ないや。来週からちゃんと毎週録画の予約にしよう。ただし『清盛』はもうアウト。脚本があれでは多分これからどれほどドラマティックな状況が訪れようと、大人の鑑賞に堪えるセリフが紡ぎ出されてくるとは思えない。
 
似たようなシチュエーションでは『龍馬』も脚本の耐えられない軽さが時折目についたが、あっちはまだ主演以外の役者に見るべきものがあり、とりあえず半平太が死ぬまでは見てた。『清盛』の方はそれほどの役者も見当たらない。なにしろ松田聖子、目障りだし(^0^;)。……てなわけでまたしても今年の僕の大河は去年に続いて1月中に終了。それでも去年は第1話で見切ったから、それよりはまだまし?
 

期待の持てそうな力作『運命の人』

本木雅弘主演の『運命の人』を見る。僕は原作を知らないが、これが例の沖縄密約漏洩事件に材を取った話であることくらいは知っている。
 
この事件が裁判になった頃、ちょうど僕は高校から大学くらいの多感な時期で、たまたまその頃、家が毎日新聞を取っていたこともあって、新聞記者という個人が国家の大嘘を暴き、そのために国家によって逮捕された事件なんだろうなあとして記憶に残っている。ただし裁判の初期の頃からこの毎日新聞のNという記者は毀誉褒貶のある人物で、やり手には違いないがちょっとあくのある人らしいという印象を振りまく記事も、あの頃、主にライバル系週刊誌などを中心によく取り沙汰されていた。
 
そして裁判は例の、N記者と情報を漏らした外務省職員の女性が「情を通じ」たという、いつの間にかその言葉があの事件を語るキーワードとなってしまい、結果いつの間にか、国家の嘘を暴いた行為は罪になるのか否か、その行為を検証するためにあのN記者の記事は事実かどうか、すなわち国家は嘘をついたのかどうかという部分まで明らかになるはずだった裁判は、まるで一新聞記者が外務省の女と「やった」のかどうか、そんなことを明らかにする裁判になってしまった。
 
僕が生まれて初めて「情を通じる」なんて言葉の存在を知り、その用法をも知ったのはあの裁判のおかげであって、結果的にあの裁判は純真な田舎の一童貞少年にそんな余計な知識を一つ与えただけの役割しかもたらさなかった。
 

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プログレッシブばか一代(^0^;)

兵庫かどっかの知事が、今年のNHK大河ドラマの清盛が汚いとか言って文句たれたという話がニュースになっていた。暇な話題ですな。別にコメントするような話でもないのだけれど、つい先日の『清盛』を見ちゃったものでね。ただの前フリに使わせていただきました。
 
ちなみに最近のNHKは、ちょっと気を入れたドラマ作ってまっせとアピールしたい作品はたいていこの高感度プログレッシブカメラを使ってますね。目立ったのは3年前の『坂の上の雲』あたりから。大河では『龍馬伝』でかなり前押しに導入していたのも記憶に新しい。
 
ま、そのおかげで『龍馬伝』は、内容がぴらっぴらに薄くなってる箇所でも何とかきれいな画面を作ることでごまかしおおせたのだろう。と、これはあくまで個人的解釈。いまは朝ドラまでプログレで撮る時代だが、まあ、『カーネーション』ならあの映像にドラマがまったく負けてないので、安心して堪能している。
 

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新年一発目の地雷(^0^;)

所用で八幡まで出たついでに、たまたま時間のタイミングがよかったのでつい映画館に入って『ニューイヤーズ・イブ』という作品を見てきてしまう。

 

いま映画なにやってるかなと上演予定を覗いて5分以内に始まる作品があったら、あ、俺はいまこの作品に呼ばれていると思い、見て帰るのが礼儀だと、学生の頃から自分にそう言い聞かせていたのだが、もう大人になって忙しくなったりしてくると、ときどき、なぜおまえは俺を呼んだかっ!? と言いたくなる映画も多々あったりして、なかなか難しい。

 

この作品に関して言えば、実は見る前にまったく期待などしていなかったおかげで、そんなに腹も立てずにすんだというところ。ただ、ある程度覚悟はしていても、かつて憧れたハリウッドの脚本力がこんなに弱くなってるのかと思うと、少々寂しい感じもする。

 

オールスター総出演のグランドホテル……いや、グランドホテルじゃないな、こういう形式はなんて言うんだろう、一晩なら一晩という時間を限定して、様々な人間模様を細かいエピソードの積み重ねで見せる形式のことである。ロバート・アルトマンなんかもよくやってたけど、もともとこのスタイルはハリウッドのお家芸みたいなものだ。

 

各エピソードの登場人物は互いに繋がっていてもいいし、独立していてもいいが、キャストに意外な有名俳優なんか絡ませたりしたら、見ている方ももしかしたらお得感のようなものがあるのかも。言わばコンピレーションアルバムのようなものか。先日見た『コンティジョン』もそういやコンピの一種だろう。ソダーバーグも多いよね、このスタイル。

 

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花魁道中の正体(-_-;)

あっという間に新年も5日。はっきし言ってもう平日じゃん()。母さん、僕の正月はいったいどこへ行ってしまったんでしょう。ほら、あのトランプやら双六やら、日がな一日遊んで過ごし、飽きたらこたつに半分体を突っ込んだままごろんと横になってテレビで漫才を見るという、およそ何も生産的なことをまったくしないでいながら、しかもその生産的なことを何もしてないことに何の不安も罪の意識も抱かずに、ただ夜中までだらだらと起きていられた、そんな正月のことですよ。
 
例年似たようなこと書いてるが、今年も特別に正月らしいことは何一つしていない。ただ元旦からパソコンの前に座って、延々と唸り続けながら原稿用紙の枚数を増やしていただけ。しかも暮れにあげるべきだった連載の原稿、まだいじってます。担当が多分年末年始でどっか行って何も連絡してこないせいだな。僕は自分がほめられて伸びるタイプだということは十分認識しているが、同時に、鞭打たれないと決して歩かないタイプなんだということを再確認。どーせ駑馬さっ。駑馬と呼んでくれっ!
 
なにしろ原稿をまだ上げてないので初詣もしていない。有り体に言えば僕の新年はまだ始まってないのだ。ただし年が明けてからまったく何も正月らしいことはしなかったのかと言えば、一つだけあった。うちから歩いて5分くらいのところに、野々宮神社という神社があって、ここに元日の夜というのか朝というのか、出かけてきたのだ。
 

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あけてしまったからおめでとう(^_^;)

昨年はみんな思ってることだろうけど、本当にいろいろあって、それが久方ぶりに個人の範囲を超えた国家的ないろいろと物を思わざるを得ないことがあったわけで、多分こんな風に個人がいま自分たちがどんな国に生きているのかということを、地理的にも政治的にも意識してしまったのはほとんど戦争の時以来かと思う。
 
いやいや、じゃああれはどうなのよとオウムのサリン事件や阪神淡路大震災のあった95年を例に持ち出す人もいるかも知れないが、いまから思えばあれは局地戦だった。当時の村山内閣の対応を批判する人もいるけれど、誰もあんな事態に慣れてなかったことを若干考慮してみれば、あの爺さんにすればよくやった方じゃないかとも思えるのは、官邸が機能したのかどうかというその一点だけをとってみても、もちろん今回の震災の対応と比較しての話である。
 
ま、ここから先はこんなところで偉そうに書く話ではなくて、個人的に酒を飲んだときにでも聞かせる愚痴話の類であり、ともかく時間が先にしか流れていかないのと同様、人の目も顔の前にしかついてないわけだから、生きていくつもりなら前を見ていくしか仕方ない。
 
もしかしなくてもいまは、もう1年近く前から時が止まったままの人も数万人の単位でいるかもしれない。ずっと年なんか明けなくていい、いや、いっそ明けないでくれ、あるいは明けたからどうしたという気分の人だって多いだろう。そんな人たちだって1年前の今日は、互いに笑顔で挨拶を交わし、良い年をとか、おめでとうなどと言い合っていたはずなのだ。
 
だから僕たちだってわからない。
 
今日おめでとうなどと言い合っている僕たちは、今年これから先、自分自身はもちろん自分の周囲の世界にもどんなことが起きるかまったくわかるはずもない。僕らは何という頼りない偶然の確率の中を生きているのか、一昔前にウッチャンナンチャンの南原が下着一枚で仲間と踊る葉っぱ隊というギャグコントの中に、生きてるだけでラッキーだという歌詞があったが、あの言葉はまさに真理であったなあと、去年は何度かそんなことを思い返すこともあった。
 
そのことを、自分は忘れないでおこうと思う。何もできないならせめて忘れないことだ。ということを、自分の漫画でもセリフで書いたつもりだけど、なんかうまく強調されずに埋没しちゃったので()、あえてもう一度、年頭の自分への確認としてここにメモしておく。東北のために何ができるかなんて偉そうな話じゃあない。あの震災を忘れないのは自分の生き方を照らす鏡にするためだ。
 
今年は仕事もして恋もして、少しは自分の考えていることも主張してみようか。ちょいとばかし世間を斜めに見上げながら……という感じのテーマで仕上げたのが今年の年賀状。届いた人も届かなかった人も、本年もどうぞよろしくお願いします。

2012nenga_2


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