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新年一発目の地雷(^0^;)

所用で八幡まで出たついでに、たまたま時間のタイミングがよかったのでつい映画館に入って『ニューイヤーズ・イブ』という作品を見てきてしまう。

 

いま映画なにやってるかなと上演予定を覗いて5分以内に始まる作品があったら、あ、俺はいまこの作品に呼ばれていると思い、見て帰るのが礼儀だと、学生の頃から自分にそう言い聞かせていたのだが、もう大人になって忙しくなったりしてくると、ときどき、なぜおまえは俺を呼んだかっ!? と言いたくなる映画も多々あったりして、なかなか難しい。

 

この作品に関して言えば、実は見る前にまったく期待などしていなかったおかげで、そんなに腹も立てずにすんだというところ。ただ、ある程度覚悟はしていても、かつて憧れたハリウッドの脚本力がこんなに弱くなってるのかと思うと、少々寂しい感じもする。

 

オールスター総出演のグランドホテル……いや、グランドホテルじゃないな、こういう形式はなんて言うんだろう、一晩なら一晩という時間を限定して、様々な人間模様を細かいエピソードの積み重ねで見せる形式のことである。ロバート・アルトマンなんかもよくやってたけど、もともとこのスタイルはハリウッドのお家芸みたいなものだ。

 

各エピソードの登場人物は互いに繋がっていてもいいし、独立していてもいいが、キャストに意外な有名俳優なんか絡ませたりしたら、見ている方ももしかしたらお得感のようなものがあるのかも。言わばコンピレーションアルバムのようなものか。先日見た『コンティジョン』もそういやコンピの一種だろう。ソダーバーグも多いよね、このスタイル。

 

昔はこのジャンルにも傑作が多く、たとえば『アメリカン・グラフィティ』なんて大好きな映画もある。ただ近年、ハリウッドのこの手の作品で感心したものはほとんどない。オールスターのエピソードものと言われれば、僕はそれだけで絶対つまらないだろうなと勘が働いてしまう。見る前の偏差値を低く出来たのも、そのおかげ。

 

期待してないのに見たのは、冒頭に述べた映画呼ばれルールが一つ。もう一つは監督が『プリティ・ウーマン』のゲイリー・マーシャルであること、さらにキャストが僕の好きなハル・ベリーを始め、ぴんと来る名前だけでもデ・ニーロ、ミシェル・ファイファー、ヒラリー・スワンク、サラ・ジェシカ・パーカー、おまけにボン・ジョヴィまで……ボン・ジョヴィはともかく、それぞれこの人で一本という主演級俳優がずらずら出ていたために、つい地雷とわかっていて踏んでしまった。

 

ちなみに『プリティ』のと書いたけど、実は僕はあの映画を見ていない。ジュリア・ロバーツの出世作だし、当時日本でもヒットしたのかやたらあのテーマソングを耳にしたが、僕はまったくそそられる要素がなくて観に行かなかった。じゃあなんでゲイリー・マーシャルかと言えば、30年ばかり前『フライング・ハイ』やら『裸の銃を持つ男』やらのギャグパロディ映画全盛時代に『病院狂時代』という映画があって、僕は当時この映画が大好きでビデオまで買ったのだけれど、これがゲイリー・マーシャルの監督デビュー作だったのだ。

 

知らない人は『病院狂時代』という邦題があんまりだと感じるかもしれないが、僕は名優リチャード・ドレファスとビル・マーレイが共演した『おつむてんてんクリニック』よりはましな題名ではないかと思う。『病院狂時代』は原題が『Young Doctors in Love』。直訳すれば恋する研修医、みたいな感じか。ともあれこんな面白みも何もないタイトルに騙されちゃいけないってくらい、本編はおバカ炸裂の大あほあほ映画だった。だからこの作品は『病院狂時代』がタイトルとして正解。てゆーか、この映画こそ『おつむてんてんクリニック』の名を冠してやるべきだった。

 

『病院狂時代』の話はともかく、この『ニューイヤーズ・イブ』。一言で言えば、ニューヨークで行われる大晦日のカウントダウンイベントをクライマックスに、この街で暮らす男女8組の半日を同時進行的に追いかけた物語。このカップルは恋人であったり夫婦であったり母娘であったり父娘であったりするのだが、上に書いたようにこれらを演じるのがオールスター、それもアカデミー賞クラスの演技派という、超豪華な配役なのだ。

 

それなのに何ということでしょう。どのエピソードもまるで三谷幸喜の映画ばりにスカスカで、ギャグは笑えず、余韻も感動もなく、ストーリーはほぼこちらの予想したとおりに展開していく。いや、客の予想したとおりに展開したって、面白くさえあればそれは別にいいのだが、問題は予想すらしたくない、つまりその物語がどうなろうと別にどうでもいいやと思ってしまうような内容になることこそ作品にとっては問題なのである。

 

僕は途中でそんな感じになってしまった。もうほんとにね、この映画を見ると、どれほどの名優を引っ張ってきたところで、映画は脚本こそ命であるという大原則を改めて確認させてくれる。

 

ところで僕は、この映画を見ている途中くらいから、去年か一昨年あたり、すごくこの映画と似通った後味を受ける映画を見たことを思い出してしまった。

 

それも僕の好きなジェシカ・アルパ始め、ジュリア・ロバーツだのパトリック・デンプシーだのジェイミー・フォックスだの、極めつけは何とシャーリー・マクレーンまでという、アカデミークラスの役者をずらずらと配し、バレンタイン・デーの一日を舞台に、様々な男女カップルのトラブルやら仲直りやらを見せて最後に全員ハッピーエンドに持って行くという。

 

ところがこの各エピソードの内容たるや、まるで三谷幸喜の映画みたいに薄っぺらで陳腐でご都合で、久々に金返せと言いたくなるような映画だったのだが、映画館を出てから調べてみたらこの『バレンタイン・デー』という映画、監督は何とゲイリー・マーシャルだった。結局2本とも個人的に好きな女優に惑わされた結果ではあるのだが……

 

なんて学習能力のない俺っ!()

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