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怒濤の睡眠不足(-_-)゜zzz…

ようやく残暑が終わってそろそろ秋モードに入ってきたせいかどうか、いきなり眠い。ま、僕の場合は格別秋だからどうこうということではないのだけれど、それでも一応、季節に絡めて眠いといっておこう。
 
とにかく今日も一日中眠くて、仕事を進めなきゃならないのに原稿用紙にして1日2枚とか、1枚半とかそんなペースである。僕は最近悟り始めてきた。たぶん俺、この商売向いてない
 
もっとも仕事がはかどらないのに輪を掛けて、テレビを見たり、テレビでWOWOWを見たり、テレビでDVDを見たりもしてるわけだから、結局オレ、テレビばっか見てんじゃないのか? そんな疑問をお持ちの諸兄にあえてお答えするが、一応本だって読んでる。ただし、なかなか読み進まないので困ってる。
 
2ヶ月くらい前に東大の生協で20年くらいベストセラー! みたいな惹句にひかれてつい買ってしまった『世界史(上)』という本があるのだが、これなんかいつまでたっても、最古の狩猟民族がベーリング海峡を渡ってアメリカ大陸に進入したあたりから先に進まない。それは何度読み始めてもその前までに読み終えた箇所を、記憶の再確認のため、少し戻って読み直しているので、おおよそ同じあたりに来ると、つまりその民族がベーリング海峡を渡るあたりでだいたい飽きてしまい、読むのを中断しているせいだ。……テ、ティグリス川が遠い
 
若い頃はそうでもなかったが、最近は仕事を始めようといざ机に向かっても、書きたい話やアイデアが涌いて出てくるようなことは、もうない。つまりいまの僕は、話を作るために次から次へと栄養剤を飲み続けていなければもたない体になった半病人のようなものなのだ。
 
絶えず様々な物語や知識を頭に入れ続け、また片っ端から捨てていきながら、常に脳に何か刺激を与えていないと物語がなかなかひねりだせない、ひねりだしてもやたら時間がかかる。といってそのために仕事の時間を削っては本末転倒、要するにいまの僕は何もかも時間が足りなくなっているという状態。僕は元来、自分にはとことん甘い男なのだが、その僕でさえさすがに睡眠時間を削らざるをえなくなっている。
 

そんな中、土曜の夜中に見た『トゥルー・グリット』は、久々に僕は満足する作品だった。
 
ジャンルとしてはいわゆる西部劇になるだろうから、西部劇が苦手な人には基本的に向いてないかもしれない。いや、僕は個人的にはそういう人が見ても面白いんじゃないかと思うが。
 
昔、確か晩年のジョン・ウェインが出ていた『勇気ある追跡』という映画がちらっと記憶に残っているが、これはそのリメイク。てゆーか、ちゃんとした原作があるから2度目の映画化と言うべきか。『True Grit』は原題なのだろう。真の勇者とか、男気を意味する言葉らしいが、これが具体的に何を表わすのかは本編を見ればいい。
 
ウェイン版の方は、なんだかウェインの片目の黒いアイパッチが巨大で、なんかそれ以外には正直言ってあんまり印象に残ってない。ま、もともとウェインは向こうの鶴田浩二みたいな人なんだけど、僕は特にウェインファンであった時期はないからね。
 
ウェインがやってた役を、今作ではジェフ・ブリッジスが演じている。この人は『クレイジー・ハート』あたりからさらに進化して、僕が理想としているジジイの姿に近づいている。つまり、本当に最低で嫌われものでどうしようもなく嫌みなジジイなんだけど、なぜかかっこいいという。
 
これは言葉では説明できなくて、見るしかないと思うが、今作でも最高に最低なかっこよさ爆発。思えば『スターマン』あたりでは本当に宇宙人みたいなぬめっとしたイカのようなとらえどころのない芝居をしていたのに、この人ほど年を重ねるごとにぐんぐんかっこよくなってきた人はいないのではないか。ああ、ジェフに抱かれたい! 勢いに任せてそんな言葉を口走ってしまいそうな今日この頃。
 
監督はコーエン兄弟。兄は僕より年上で、弟は僕より年下だが、いつまでも仲良く二人で映画撮るよね。彼らの作品は、好きな人は全部好きというかも知れないが、僕の感想で言うと結構ばらつきがあって、面白いものは最高に面白く、そうでないものは……よくわからない作品もまた多い。僕が彼らの作品で一番好きなのは『ミラーズ・クロッシング』かな。あの全編を覆うひりひりした緊迫感は何度見ても痺れる。僕はタランティーノよりもこちらが好き。
 
この『トゥルー・グリット』は、あの『ミラクロ』に通じるサスペンスと、手慣れた分、他にもさまざまな景色や感情を見せる余裕が加わった。『ミラクロ』同様、ある部分は非常にリアルで、ある部分はちょっとグロでさえあるかもしれないが、中心に少女のヒロイン、それもめちゃキャラの立ったヒロインを置くことで、あの人物関係を絶妙に中和させている。
 
この物語でコーエン兄弟が描こうとしたことは、実はエピローグの部分にこそ隠されているのかも知れないが、もうほんとにシブいエンディング。『許されざる者』のそれにも通じるものがあるが、僕はああいう形のラストシーンを見るたび、日本の時代物でこういう余韻を残す話が何か出来ないか、もう長いこと考えている。あ、もしかしたら山田洋次が『たそがれ清兵衛』で、ちょっとそんな感じのことをやったかな。

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