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3Dは二度と見ない

昨日、久々に八幡マイカルで映画。
 
生まれて初めて見るさんでー映画だったが、これ以外の選択肢がないのだから仕方がない。どうしてもというなら吹替え版では通常画面のものもあったが、劇場まで出かけてきてわざわざ声優の吹替えを聞こうとも思わない。
 
ただし、これでさんでー用の眼鏡の代金がチケットに上乗せされているのだ。2人で千円という額は大衆娯楽であるはずの映画料金の相場から言うと、結構な金額のようにも思えるが、まあ、物は試しという言葉もある。いままで食わず嫌いを続けてきたが、いわゆるさんでー画面にはまれば、案外それはそれで気持ちいいものかもしれないなどと思い直し、この映画を見ることにしたのだ。
 
映画終了後、僕は迷わず劇場の受付係のもとに駆けつけ、この眼鏡を返したいのだがどこへ返せばいいのか訊ねたら、これは購入されたものだから持っていって構わないと言われる。構わないのではなく、こんなもの持っていたくはないのだ。と、説明するのだがどうもよく理解されなかった様子。もちろん僕は二度とさんでー映画を見る気なぞ完全に失せたが、下手にこんなものを持って帰ることで、少なくとも僕がさんでー映画を受入れたという誤ったメッセージが誰かに伝えられるのがたまらなく嫌なのだという話。
 
仕方がないので僕は劇場に戻り、椅子の上にこれ見よがしにさんでー眼鏡を置いて帰ってきたのだが、これがどうも妻の気に障ったらしい。帰りの車中、せっかくいま見てきた映画の感想を話し合いたいのに口を利いてくれない
 

もちろん彼女はちゃんと3D眼鏡を持って帰ってきている。映画、面白かったのかと聞くと面白くないという。じゃあ、また3D映画を見に行きたいと思ってるのかというと、見たくはないという。だったらなぜ僕と同じようにこんな眼鏡は拒否するという意思表示をしないのかと詰問すると、あなたのように関係のない人間に八つ当たりして傷つけるような態度が許せないのだという。
 
妻よ、それは間違っている。僕は決して八つ当たりなどしていないし、筋違いのクレームをまくし立てたわけでもない。ただ、金を返せとまでは言わないから、こんな眼鏡を持って帰れと言われても困るので、そちらで引き取ってくれと頼んだだけである。それをこちらでは引き取れない、じゃあどこなら引き取ってくれる、いや、どちらでも引き取れないというから、映画館に置き忘れてきただけだ。
 
僕は、極めて穏やかに平静に話をしたつもりだが、こんな客がいた、客にこんな意見を言われたということを彼ら彼女らに印象づけておくことは大事である。なぜなら彼らは関係のない人ではなく、映画産業の末端でかつ最もダイレクトに観客に接する立場の人間なのだから。バイトか正社員かは関係なく、彼らの接する客の様子は上部組織に伝えられなければならない。だから僕はそのつもりで彼らに話しているのだ。3Dはダメだ。諦めろ、と。
 
ま、3Dがどうダメかは一度でもあれを見た人なら、多分7、8割方はわかってくれるんじゃないかと思うがどうだろう。
 
状況は日ごとに変化してるから、いまの流れがどうなっているかは知らないがこの数年、具体的には『アバター』が世界的にヒットしていたあたりから、ハリウッドはどうやら3D推進に舵を切った。アカデミー賞を『ヒューゴの不思議な発明』が受賞したのはその象徴だと思ったし、そもそも『アバター』にしろ『ヒューゴ』にしろ、キャメロンだのスコセッシだの、錚々たるビッグネームに撮らせているのはずいぶん露骨な手のように感じるのだが。
 
そのビッグネームの極めつけがリドリー・スコットだ。この人をもってきて『エイリアン』の前日譚をやると言われた日にゃあ、しかも基本的には3D版しか公開しないと言われたら、いくら3D嫌いの僕でも一度は見ておくかとなってしまうではないか。つまりこれはそもそも企画の最初から、多分に戦略的、それもハリウッドの意を汲んだ商業戦略的な臭いがぷんぷんと漂ってはいたのさ。
 
それでもね、その映画自体の出来さえよければ、多少の見づらさや不快感はとりあえず横へ置いといて、まあ3Dもそう毛嫌いしたものでもないかもね、くらいは言ったかもしれない。だが目的に不純な動機が入っていれば、所詮傑作なんか生まれようがないのだ。昨日見た『プロメテウス』は僕の個人評価では、久々に金返せ! と言いたくなるくらい、現時点では今年最低の映画として記憶されることになった。
 
まあ、どれくらいひどいかは、もし興味があるなら自分で確かめてください。でもね、もうリドリー・スコット、本当にやる気があったのかどうか疑問なくらいのとほほなできばえ。まだ公開してあまり経ってないから、ネタバレにつながるようなことは避けるが、本当にいろんなところをここで突っ込みたくてうずうずしてんだから。
 
一つだけもう書いてしまったから言うけど、これが『エイリアン』の前日譚になるという話は、ずいぶん前に本人のインタビューか何かで見た記憶があった。だから当然、公開されるときの宣伝文句は、あのエイリアンを引き合いに出すようなコピーが選ばれると思っていたのだが、キャンペーンが始まってみれば「人類の起源」の謎を解くといったような話題のオンパ。なんでそうなるの? と思っていたが、映画を見ると何となくその理由がわかる気がした。
 
これをネタバレといわば言え()。「人類の起源の謎」は映画が始まって冒頭1分ですべてわかる! あとは延々と中味のない謎が、中味のない登場人物たちによっていじられるのみ。ただし『エイリアン』をちゃんと覚えている人は、ときどき、ああ、ここでこれをつなげたのかと、ニヤッとできる場所が何度もある。何度もあるけどすべて、絶対そのままじゃつじつまのあわないことだらけだ。
 
つまり、これはもしかしたら宣伝スタッフも当初は『エイリアン』ファンをくすぐる売りでいこうと思ってたはずなのに、本編を見て急遽考えを改めたのだ。つ、つながらねえ~~っ てな感じで。
 
そう、あれを傑作『エイリアン』の前史とするには、あまりに穴だらけでそこを売りにしたらきっと映画の後で非難囂々だと思ったのだろう。それで何か他にいいキャッチフレーズはないかと考えたのが「人類の起源」だったと。ただね、こっちのコピーを信用してあの映画を見に行った人は人で、きっともれなく怒り新党を立ち上げたいと思うに違いない。つまり僕の3D眼鏡返却事件の裏には、実はそこまでの伏線があったということを、国民の皆さんにはご理解頂きたい。
 
……ん? やっぱ八つ当たりっぽいか!?
 
この夏見た映画としては、この大監督リドリー・スコットの寝ぼけた超大作よりは(監督、トニーのことは心よりお悔やみ申し上げます)、クリストファー・ノーランの新バットマンシリーズ完結編『ダークナイト・ライジング』の方がかろうじて面白かったけれど、はっきり言ってこのシリーズは前作だけが突出していた。もしこのシリーズに『ダークナイト』がなければ、案外凡庸なシリーズになったかも知れない。

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コメント

ご無沙汰です。
僕は未ださんでー未デビューですが、さんでーが悪いのか?それに乗っかることで画像に拘りすぎてストーリーがチープになってしまった映画が悪いのか?もう少し眺めてみたい気はしますね。
というか、最初「初めて日曜日に映画に行ったのか」と思って読んでました。

原口くん、久しぶり

僕はあの言葉が登場して以来、ずっと「さんでー」と読んでます。いっぺん知り合いの子どもの幼稚園児に笑われましたが、それでもあれは「さんでー」と読むのが正しいと言い張りました。もはや独島は我が故郷レベルです()

……だけど「スリーディー」なんて言いにくいじゃん。

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