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大和、轟沈!(T.T)

最近、朝起きてもテレビのワイドショー系がことごとくつまらない。
 
理由は、どこ党の代表選だとか、そこ党の総裁選だとか、さらには維新軍団の旗揚げだとか、もうこの3つの話題にうんざりするほどあふれていて、僕にとってはそんな話題をオンエアしたり、それに関連する人物が登場したりしているときのテレビ画面は、放送休止時の砂地画面と変わらないくらい何の意味もない画面なんだけど、こんな風に感じているのはもしかして少数派なのだろうか?
 
結局のところ、現時点でいま取り沙汰されているどの党のどの政治家と称する人物であろうと、いまの日本をいまより劇的にいい方向に変化させるようなことはできまい。それはこの国の政治制度が問題なのではなく、単にもともとそんな能力を持った人間がこの国の政界にいないだけの話。少なくともマスコミが連日あげつらう名前には、僕は個人的な印象で、いままでカスかアホか犯罪者と思ったような人間たちしか聞こえてこない。
 
特にね、どの党とは言わないけど、今度総裁選をやるとか言ってるとこなんか、候補者の顔ぶれを見た時点で笑ってしまう。次回の選挙では必ずいまの与党は負けると言われているけど、もしかするとここの総裁次第では、また与党が勝てるかも知れないと思えてしまうほどのチープなラインナップ。ほんとにこの党にもこんなタマしかいなくなったのなら、もう2、3回も選挙があるうちに、日本の政党政治は再び終焉を迎えることになるかもしれないと危惧してしまうほどだ。
 
ま、そんな勝手な愚痴を床屋で呟いていたって仕方ないのだが、ワイドショーなんかがこの手の話題をやり続けてくれることで、一ついいこともある。
 
なんと、ワイドショーをほとんど見なくてすむようになった()
 

となると、いままでテレビで録画していてなかなか見る機会のなかった番組などに目を通す、絶好のチャンス。おかげでこの数日来、僕はWOWOWで録っておいた『ミッドナイト・ラン』とか『ロゼッタ』とか平成中村座やコクーンの歌舞伎を一気見している。……まだ仕事から逃避しまくってるな
 
昨日一昨日と、2日がかりで『巨大戦艦大和』を見る。これはNHKのドキュメンタリーで8月に放送したものだけど、なんと3時間もある大作なので、そう簡単に見る気にならなかったのだ。
 
これはよかった。
 
よかった、というと語弊があるかもしれないが、いままで大和に関するドキュメントというと、その大和の航路と最後の出撃をたどるような番組が多い中、この作品では大和乗組員の生存者にインタビューをして、様々な乗員たちの人生から大和がどんな船であったかということが浮き上がるようにしている。これはここ数年、戦争体験者、主に兵士たちの膨大な証言を集めて番組にするというスタイルを確立したNHKならではの強みであり、その編集のうまさは独壇場だ。
 
この番組でも、生き延びた乗員たちのいまでも生々しいリアルな証言が次々と飛び出す。特に大和の沈没が決定的となって、総員退避命令が出てからの生死を分けた一瞬の判断や運を語る話が凄まじい。もちろんインタビューは生存者に聞いてるのだから、生き延びたのは当たり前だが、その彼らが生き延びた経緯もそんなに簡単なものではなかったことがわかる。
 
海に飛び込んだはいいが、沈没する大和の渦に巻き込まれ、ほとんどの人間は死を覚悟する。溺死がいかに苦しいものかを、顔を歪めてディレクターに説明する元乗組員もいれば、自分の心臓が止まったことをはっきり悟っていた乗員もいた。ところがその彼らは共通して、凄まじい轟音と閃光によって海中からロケットのように弾き飛ばされ、意識を取り戻す。大和の弾薬に引火して、沈没途中の大和が大爆発を起こしたのだ。
 
「気がついたら、空全体が、鉛が赤く溶けたような色になっていた」と証言した乗員は、やがてそれが爆発した大和の破片が上空に舞い上がって滞空していただけであることを知る。なぜならしばらくすると大小様々のそれが次々と海面に落下してきたからだ。いままで横で話していた別の乗員の頭が次の瞬間には半分なくなっていたとか、大きな破片にぶつかって全身が跡形もなくなってしまうとか、そんな光景があちこちで繰り広げられた。
 
なにしろ3300人くらい乗っていたうち、3千人以上死んでるとなると生存率1割も切っている。だから生き延びてしまったことに葛藤も生まれたのだろう。せっかく生き残ったのに故郷に帰れず、そのまま別の土地へ行ってしまった人もいるという。
 
大和は悲劇の戦艦というイメージをまとい、ともすれば大和さえ無事だったならガミラス帝国だって崩壊させられると信じてしまいそうだが、現実は日本海軍、ひいては戦争指導部の判断ミスの集積があの事態を招いた。仮に米軍に待ち伏せされなかったとしても、大和は沖縄で戦艦特攻を仕掛けるために送られたのだ。1割に満たない生存者たちも、沖縄まで行っていたらほぼ確実に生還は出来なかっただろう。
 
ようやく、雄弁に語り始めた90前後の男たちは皆、いま話しておかねばならないという気迫のようなものが、どの人にも必ずほの見える。その面つきを見るだけでも、NHKのこのシリーズは心に留める価値のあるものだと思って、気がつく限りはたいてい見るようにしている。
 
最近、テレビのワイドショーなんかに間違ってチャンネルを合わせると、どこ党の総裁候補だとか、維新軍団の太鼓持ちという名目で、このうえなく下品な、あるいは分別のかけらもなさそうな顔を見かけてしまうことがままある。ちらっとでもそんな気分の悪いものを見てしまったときには、このシリーズはいい毒消しになってくれるのだ。

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