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2013年2月

あの頃は工藤夕貴が好きだった

昨夜の夜中、仕事にかかる前にWOWOWで撮っておいた『台風クラブ』を見る。

 

昔見て、なんだかよくわからない話だった印象があるものの、忘れがたい印象も同時に残していて、いまでも気になる若い頃見た映画なんてカテゴリを作れば、ベスト10くらいに入ってくる作品だ。

 

いま見直してみると、僕はかなりの部分、内容を忘れていた。何となく性に目覚める年頃の中学生たちが、迫り来る台風との相乗効果でどんどん壊れていくというか、自分の行動を自分でコントロールできなくなっていく少年少女たちの危うさみたいなものが描かれていたっけというくらいの記憶しかなかったけど、改めて見直してみると、けっこうこの映画はさりげなく随所に凄い。

 

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久々に鑑賞に堪える大河が戻ってきた

仕事前に日曜の『八重の桜』を見る。相変わらず好調。久々に1年通して見る気になりそうな大河ドラマが帰ってきた。前に大河を1年見たのは『篤姫』以来だから、もう4、5年くらい経つのかな。特にこの数年がひどすぎたからね。1話目で諦める、というより、始まってものの10分くらいでテレビの電源をたたっ切りたくなるようなドラマが続いたせいもあるが。

 

脚本もうまいが、演出もいい。特に殿中や宮中の表現に、ほおおと思うようなセンスを感じる。正直、『龍馬伝』(あれも武市が死んでから見る理由がなくなったので途中で視聴を止めたが)に代表される、あの手のプログレカメラであざといほどに画面に色をつけていた演出は、僕は正直食傷していたので、今回の表現の仕方はとても気に入っている。

 

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最近ややもたれるなぁ・・・

面白かった『高校受験』の後番組ということもあり、そのままの勢いで見続けた『カラマーゾフの兄弟』だが、最初にちょっと感心したのは主演の市原隼人。まっすぐなバカを演じさせたら右に出る者がない長瀬の後継者路線でいくのかと思っていたら、意外にもこのドラマではイメージを変えてきた。

 

その努力はわかるし、最初はへええ、こういう感じの芝居もできるのか、と目を引いたんだけど、いかんせん脚本に変化が乏しく、ということは市原くんのせっかくの努力も毎週毎週単調な繰り返しを見せつけられるだけになってきて、正直最近、これを最後まで見切るかどうか迷うほどに胃にもたれ始めてきている。

 

もちろんこれは彼のせいではなく、暴虐の限りを尽くす家長の吉田鋼太郎も、父親に反抗的な態度を取っては失敗する兄貴役も、ただひたすら耐える弟役も、すべてが一本調子の繰り返し。こんな印象をもたれるのを避けるためにか、ときどき無関係なコマを挟んだりいきなりカラスを飛ばしたりする演出をしてるけど、ますます空回りのどつぼにはまりこんでいる。

 

追求する刑事役が妙にエキセントリックに声を張り上げるのも、市原側の静の芝居に対置するためかとも思われるが、まったく逆効果で、僕なぞ彼が登場してくるたびチャンネルを変えたくなる。まあ、物語はもうそろそろ誰が父親を殺したかの核心に入ってきそうな展開ではあるので、来週もう1回くらい見てみようとは思っている。万一それでもまた話が堂々巡りしそうなら、あのドラマで楽しみなのはバカリズムのCMだけということになるかも。

キャパの真相!?

先日録画しておいた『Nスペ』を見る。キャパの写真の真相を巡る調査ドキュメンタリーの形式になっていて、レポーター役は沢木耕太郎。戦場で兵士が撃たれた瞬間を撮影したとして、あまりにも有名なキャパの「くずれおちる兵士」は、実は撃たれてもいないし、死んでもいないし、撮影場所は戦場じゃないし、そもそもあれ撮ったの、キャパじゃないしぃ、という話。

 

それ、ほんとならものすごい話でしょうに。世界的な話題になってもおかしくない話なのに、なんでみんな世間はそんなに騒いでないの? もしかしてこれはガセネタなの? なんて思ってしまうのは、僕らの世代の一時的にせよジャーナリズムに興味を持ったことのあるような人間にとって、やはりキャパの名は特別な意味を持つ存在だからだろうか。いまの人たちは、キャパ? なにそれ? 収容能力!? とか思ってしまうのかな。

 

ま、さっき便所で読んでいた新聞にはこれに関する沢木さんの新刊の広告も出てたので、ああ、当然これだけの内容なんだから本は出すよなあと思うと同時に、個人の商売に貢献するようなニュースには触れたくないという各報道機関の自粛気分もあるのかとは思う。だけどさ、このドキュメンタリーで語られてる内容は、これが真相なら本当に、ニューヨークの近代美術館のキャパの写真展示も内容も意味もひっくり返さなきゃならなくなるほどのネタだろうに。ほんと、なんでみんな冷静なのか、意味がわからない。

 

それにしても最近Nスペ、ダイオウイカといいこれといい、飛ばしてんなあ。

上意討ち~拝領妻始末

夜中までパソコンに向かっていても一向仕事が進まないので、先日撮っておいた特番ドラマ『上意討ち~拝領妻始末』を見る。

 

これはかつてかの『切腹』を撮った名匠小林正樹監督の同名作品リメイク。この話題を最初に聞いたときに一番驚いたのは、今回の撮影にあたってオリジナル脚本に手を入れたのは、オリジナルを書いた橋本忍本人であるという話。まだ生きてたのか、橋本忍!? いや、生きておられるのは慶賀の至りだけど、しかもまだ現役ってことじゃん! 確か90はもう、とうに過ぎておられるはずだが・・・。

 

考えてみれば橋本さんの師匠黒澤明しかり、数年前に大往生された新藤兼人もそうだけど、映画人てつくづく生命力の強い人が多いなという印象がある。ある意味においては、大島さんだってあんな大病をした割には、よく生きられたともいえる。なんかね、長生きしたきゃ映画監督になるに限るのかな。ただし大監督と呼ばれる人でないと、たぶんこの法則は当てはまらない。

 

さて、橋本忍本人が手を加えたと聞いて俄然見る気になったのは、『ガンダム』の漫画化を安彦さんがやったから読む気になった心境とほぼ同じであろう。とはいえ昔の名作時代劇を現代の役者、演出でリメイクして、あまりろくなことになった覚えはないので、耐えられなくなったらいつでもその時点で再生停止し、消去する気まんまん。それくらいのつもりでいた方が、ダメージ少なくてすむからね。なにしろ主演の田村正和にしてからが、オリジナルでは三船敏郎が演じた役だ。も、キャスティングの段階から気分はほとんど怖いもの見たさ。

 

絶対ダメ! 絶対カス! 絶対ハズレ! と、見る前に十回くらい唱えてから鑑賞開始する『上意討ち』。原作はこれまた『切腹』と同じ滝口康彦。『切腹』同様「武士道残酷物語」ジャンルとでもいうべき範疇に属する、当時は「士道」ものと呼ばれた小説の映像化。で、おまじないを唱えてから見たところ・・・

 

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