なんか、凄いな『悪の華』
仕事の合間に妻が弁当を買ってきてくれたので、一階に降りて昼食をとり、仕事再開までの腹ごなしに昨夜撮っておいた『悪の華』を見る。
これもなんだか気色悪い気色悪いと言いながらなんだかんだで第7話。どうすんだ、そろそろどっかで話が動くのか……なんて思いながら見ていたら、今回の展開にはちょっと目を瞠った。
昔はオタク2、3歩手前のアニメ愛好家を自称していた僕も、もう最近のテレビアニメには見るべきものがほとんどないと思ってたけど(それでもごくたまにピングドラムとか、ああいうのが出てくるとほほうとはなるけどね)、たとえば『悪の華』なんか、話の内容そのものは決してアニメだからできるというものでもないし、ロトスコープを取り入れてることからもわかるとおり、演出家は絶対実写を意識してるだろう。実際この話なら別に園子温あたりがやっても不思議はないよね、なんて思いもどこかにひっかけながら見ていた。
ところが今回の話の後半、ついに主人公の少年の「悪の華」が開くというか、中村さんという少女の導きで彼の箍が外れてしまうわけだが、ここからの描写が凄かった。僕はATG映画の最盛期でも、こんな表現は見た覚えがない。ヌーベルバーグやニューシネマのすべてを網羅するほどは詳しくないので何とも言えないが、思春期のわけのわからないエネルギーの溜まりに溜まった暴発を描く手法としては、まさしく映画。
ところがここからが感心したところなんだけど、一見実写ぽい演出なのに、同じ演出は恐らく実写ではいまのところ不可能、あるいはほんとに実写でやったら案外陳腐かもしれないような構図が随所に出てくる。そのうえ実際の役者が演じたのでは決して表われてこなかっただろう、アニメ独特の質感によって増幅される気色の悪さは、すっげー迫力、としか言いようがない。もうほんとにね、気色悪すぎて感動するなんて経験を、僕は初めて体験しましたよ。こういう画面を見ることがあるから、いまだにアニメから完全に足が洗えないでいる
面白くて見てるのか、と聞かれるといまだに「?」としか答えようがないが『進撃の巨人』の演出といい、ここ数年、僕の個人的見解の範疇では停滞していたアニメ界に、新しい試みとしかもそれが成功している例を見られるようになった感じがして、とてもハッピー。まさしく今期はアニメの当たりシーズンだ。
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