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意外と淡々と終わったなあ

『Woman』の話である。

 

だいたい9話で最終回とは思ってもいなかった。普通ドラマの1クールと言えば、もともとは3ヶ月くらいの期間をさしてたはずだから、話数も12話とか13話が1単位だったように思う。

 

しかもよほど人気のない作品で打ち切られる場合だって、わずか1クールで打ち切り! なんて言い方をしたもので、それはきっちり12話か13話はやりきってるわけ。つまり近年の成功した、とされるドラマより話数が長かったりするのだ。昔はだいたいドラマは2クール、つまり半年くらいが基本単位だったものな。

 

それがいつの頃からかだんだんと連続ドラマが短く細切れになってきて、いまや基本は1クール。それも12話もやる作品は稀な方で、たいていは11話か10話くらいで最終回を迎える作品の方が多い。これで堂々とした重厚なドラマがどれほど見せられるものだろうか。ま、陳腐なコントにしか見えないドラマを延々見せられるくらいなら、早めに切ってもらった方が公共の福祉には沿っているといえるかもしれない。

 

昔は各局、ある時間帯のドラマは年に2本か3本作れば済んでいたはずのところを、いまは年に4本、しかも番組の切り替わる改変期には春夏秋冬それぞれ1ヶ月くらいの無駄な空き時間があって、この間、各局のプライムタイムはやたらタレントや芸人の類いをスタジオに集めてだらだらとしたクイズやゲームをやらかす期間が続く。この時期にアマゾンの密林が消滅していくのと同じくらいの規模で視聴者がごぼっ、ごぼっとテレビから逃げ出しているはずなのだが、テレビ局の方では誰も気づいてないのだろうかね。

 

で、『Woman』の話に戻るけど()

 

これが最初から9話終了予定だったのかどうかは知らないが、視聴率で苦戦していたという話も特に聞かないし、しかも内容は今期のドラマの中では最もしっかりしていた作品なので、恐らく当初からの予定通りだったのだろう。ただ、結果的にここの前枠で低視聴率に苦しんだあげく、はっきり打ち切りとなった『雲の階段』と同じ話数になってるけど

 

結論から言えばこの脚本家、坂元さんの悪い癖、と僕が勝手に思っている詰めの甘さが出た方の作品になってしまっていた。彼の作品の特徴は、そのまま僕がハマってしまった理由にもなるのだけれど、テーマの立て方、セリフ作りのうまさ、決して人を安心させない展開、と、そのどれもが光っていて、これに旬のうまい役者と脂ののったベテランを常に芝居で丁々発止と競わせる構図が見られれば、もうどこを切り取ってもお得! の一言しか言いようがない見応えのあるドラマを見せてもらえる。

 

ただね、凄く人聞きの悪い言い方をすればこの人の作品、けっこう羊頭狗肉というか()、あれだけの大風呂敷を広げといて、なんだこのラストのずぶずぶはっ!? と言いたくなるような話がわりと多い。正直言って僕が最終回までテンションが落ちず、お見事! と言って見終えられたのは『最高の離婚』だけかも

 

ただし、後半の着地が思ったほどでないかもなあと思いつつも、この人の作品が気になり見てしまうのは、やはり上記の特徴を備えた作家としては現時点でこの人がベストだと思っているからだ。『わたきょー』でも『それ生き』でも、最終回に至るまでは何度も身震いするような名場面、名台詞を見せてくれた。その安心感はとりあえず、ある。

 

物語のテーマとは、フグの毒のようなものだ。毒がきつければきついほど食する側に与える刺激も強くなり、絶妙の味わいとなるが、一歩間違えれば客は死ぬ。坂元さんが最初に振り上げるテーマもけっこうセンセーショナルできついものが多いが、そしてそれは見る側にとんでもない息苦しさを与えたり、目を逸らしたくなるような光景を見せたりもするが、現実をあくまでリアルに追求していけば、やがて逃げ場がなくなってクライマックスでは誰も正視に耐えない世界が展開してしまうかもしれない。現実の中に(嘘でもいいから)希望を見せようとすれば、ラストはご都合で曖昧でぬるいずぶずぶにならざるを得ないのだ。

 

だから僕はその点をもってつまらない、などと言うつもりはない。そもそもつまらない作品というのは、始まって5分以内にたいていわかる。それにテーマが深刻であればあるだけ、希望を描くラストが中途半端になるのはある程度仕方ない。1話から見てきた人なら、この時間軸で満島ひかりと田中裕子の母娘が、あんなに仲よさそうに喋れるようになってることに戸惑う人も多いだろう。でもこんなとき、役者がうまいとつくづく得だなあと思いしらされる。どんな無茶な脚本だろうと、その設定や場面に説得力を与えるのが役者の仕事なんだな。

 

ちなみに『Woman』の後番組は竹内結子主演の『ダンダリン』とかいう、労働基準局の監督官か何かを主人公にしたドラマだそうである。知らないけど多分漫画あたりが原作にありそうな臭いぷんぷん。主人公のキャラ、行動、やりそうなこと、細かい「手口」(by 麻生)はともかく、そこらへんは見る前から全部予想がついてしまいそうな安物感。それにしてもヒロインの名前がダンダリンて、ねぇ()。昔、ダンダダンとかって演歌歌手か何かがいたけど、とりあえずタイトル時点で昭和の感覚。いっそタンバリンとかにすりゃよかったのに。

 

いずれにせよ、多分見ないな()

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コメント

漫画にはバンババンというのもいます。

番場蛮? でしたっけねうろ覚えなのでこれは不正確。

永井さんの漫画には確かズババン(漢字は「ズバ蛮」だっ
たかな!?)てのもあったし、「おいら女番(スケバン)」と
いう漫画では主人公は確か女(すけ)という名字の一家だ
というむりくりな設定が……。

もう30年以上前に読んだ話ばかりなのでほとんど忘れてま
すが()

まいりました。

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