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2013年11月

ツッコミ精神、健在

過日。母のホームに行く。この秋口以降、母は何度か体調を崩し、もしかしたらそろそろ母の頑張りにも限界が近いのではないかという不安もあって、こちらはたとえわずかな時間でも、なるべく母の顔を見にホームに立ち寄るという習慣を作りつつある。
 

さすがに〆切で追い込まれると時間的精神的に厳しくなり、ふと気づけばしばらく母の顔を見てないなんてこともやっぱりあるが、この数ヶ月は酒もほとんど飲んでいない。万が一、夜や夜中に動かねばならなくなったらと考えれば、車を運転できないと田舎ではどこへも行けない。

 

この日は、ちょうど僕の誕生日だった。ホームに行くと母は夕食を終えた直後だったか、個室ではなくまだみんなと一緒にリビングにいた。とはいえ目は完全に閉じられ、口はぽかあんと開けたまま、車椅子の上でもはや完全睡眠状態。一応僕は誕生日の報告をするため、母の耳元に顔を寄せ、少し大きめの声で囁いた。「お母さん、今日は僕の誕生日やで……見てみ、僕も大きいなったやろぉ?」

 

だが母は何の反応も見せず、ぴくりとも動かない。これもいつものことだ。構わず僕は母の耳元で「Happy Birthday」の歌を囁くように歌い続ける。「ハッピバースデー、ディア、ぼ~く~♪」と歌ったところで、スタッフの一人が話しかけてきた。

 

「おいくつにならはったんですか?」

 

え? 僕!? ん~と、僕はね、……今日で満の43(^^)v

 

言った途端、いきなり母が両目をひんむくように開いて僕を見た。なんだかそのまま喋りだしそうな勢いだったから、ついぎょっとして、思わず僕は母から体を離した。

 

「あら、起きはったんやねえ」と、微笑を浮かべてスタッフが近づいてきたが、僕にはわかっていた。母は寝ていたのではない。狡猾な母のこと。あれは絶対寝たふりをしていただけなのだ。そしてひたすらチャンスを待ち、僕に絶妙のタイミングでツッコミをかましてきたに違いない。さすが母。ボケても腕は落ちてない。

 

昔から母は、父のボケに対する最高のツッコミ役だった。僕ら宇治谷家の子どもは、あの頃、関西の多くのぬくもりある家庭でそうだったように、漫才のような父と母の会話を聞きながら育ってきたのだ。

 

大河ドラマの自己矛盾

イーストウッド主演の“普通の朝ドラ”

ミッションなんか、もうやめだ!

なにか、ずれてる

昨日、ワイドショー関係に限らず、一般ニュースなどでも触れられていたのが、仙台かどっかあっちの方で、ドイツ人が取調中に逃げたという話。今朝になると、そのドイツ人が交番に出頭してきて、騒動は一段落したという話題が、いまこれを書いている朝の8時、どの局のワイドショーでも一斉に冒頭の話題にこの事件を持ってきてまだ騒いでいる。

 

僕はもしかして近年、急速に何か世間と感覚が合わなくなっているのかもしれないが、このニュース、果たしてニュースと言うべきかどうかもわからないけど、これがそんなに日本のテレビ局が一斉に扱わねばならない事件なのかどうか、まったくぴんと来ない。

 

もちろん、何らかの事件を起こして取り調べを受けていた被疑者が警察から逃げ出したわけだから、この近くの住人、あるいは近隣の町の人々は不安な夜を過ごしただろう。でもこれ、わざわざ全国ニュースで触れるような話か!?

 

いや、全国ニュースにしてもいいけどさ、扱いがこれ、新聞で言えば一面のトップ記事に持ってくるような扱いになってるわけだが、このことにこれを「報道」する側の人間たち、あるいは受け取る側の視聴者の方々とやらは、まったく何も違和感を感じないのだろうか。僕は感じる。それが、どうした? とさえ思う。

 

ああ、そうだよ。最近はまったく、僕のようなジジイはどんどん世間から遊離しまくっていってるという、その証左かもしれないが、なんかね、新聞はさすがにそんなことは滅多にないんだけど、テレビと週刊誌、この2つのメディアでよくでかでかと扱われる話題に、それがどうした!? と思わず突っ込みたくなるような話題がやたら増えてきたような気がしてならない。老化か?

いまどき夫婦で『SPEC』中毒(^_^;)

いま猛烈な勢いで『SPEC』にハマっている>いまさらかよ! という声はさておき、本放送時は何かの都合で見てなくて以来ずっと知らないまま来てたのが、新作映画の番宣企画で始まった深夜再放送を何の気なしに1話から見たら、回を追うごとに夫婦そろって深みにはまっていったのだ(^^ゞ[10/31のついとより]

 

(承前)考えてみれば『TRICK』も僕は当初飛びついて仲間さんという女優を見直したものだが、いかんせん回を追うごとに肝心の話が一向に面白くならず、てか、つまらなくて見るのをやめた。要するに『SPEC』もその類いだと思っていたのだ。完全に先入観による食わず嫌いだった[10/31のついとより]

 

(承前)一見コントドラマとしか思えないような作品でも1本筋の通ったプロットとテーマがあれば、演出や役者の力量によって見られるものになる作品はあり『SPEC』はそこをクリアしてる。演出や役者力は同等でも中身の薄さで見る気の起きない『TRICK』や『リーガル・ハイ』とはそこが違う[10/31のついとより]

 

なんて偉そうなことを書いているが、実際3年前にこのドラマの存在は知っていたものの、演出が堤氏であり、たまにザッピングでチラ見したら目に映るのは例によって素っ頓狂なおふざけ芝居の場面ばかりで、まあ、もういいです、こういうのは、とお腹満腹な感じで敬遠していたのだ。

 

ただ、新作映画が公開され、家具屋の閉店セールと同レベルの値打ちしかない完結編という言葉を売りにしたスポットがばんばん打たれ始めると人間とは弱いもので、ちょっとこれ、本当はどんな話だったんだろうという気にもなってくる。そんな頃合いを見計らって深夜枠で始まった再放送、第1話を録画して見てみたら、これがなかなかキャラの立て方といい、キレのある演出といい、確かに面白い見せ方をしていることに初めて気づいてしまった。

 

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いくら何でも早いだろ(^0^;)

『八重の桜』捨松の結婚を八重と大山巌の腕相撲で決めるという、このドラマにしては漫画な展開。前半の八重が目立たなかったという批判を気にしてか、後半はとにかく多少無理目だろうと八重中心に話が動く。その分、何だか話が薄っぺらくなった気がする。明治クロニクルとしてはなかなか面白いのだが。[10/29のついとより]

 

『八重の桜』は夏以降、面白くなりだしたという声がどっかにあったように思う。その主な理由は、ほとんど八重が関係なかった前半に比べ、八重がヒロインらしくちゃんと目立つようになってきたから、という意見に代表されるようだ。でもタイトルに名前があるのに本編にほとんど出てこない登場人物なんて、わりとよくある話だぞ。『魔法少女まどか☆マギカ』に至っては「魔法少女のまどか」が登場するのは最終話だけだ。ま、これはいささか牽強付会()

 

そりゃ僕も、で、八重はいったいいま何してるんだ!? などと、ときどき画面に突っ込んだりしてたけど、そうしながらも前半は案外面白く見られた。それどころか、かなり入れ込んで見てたかもしれない。

 

なにしろ松平容保が全編にわたってこれ見よがしに漂わせるあの悲愴感を見れば胸はキュンと打ち抜かれ、ああ、この殿のためなら我が身のことなぞいかようになろうとも構わず、御家のために尽くしてみたいとまで思ったほどだ。あの容保が『最高の離婚』で最高のチャラ夫を演じた綾野くんと同一人物とはとても思えない。彼は久々に見る、若手の化け物アクターである。

 

いままで幕末物といえば、たいていは官軍側の歴史、有り体に言えば薩長、あるいは土佐の側から見た歴史であって、敗者である幕軍側によって立つ視点から描かれたドラマは、大河に限らずほとんど見た覚えがない。

 

新選組があるじゃないかという人がいるかもしれないが、あれは極めてスケールの小さい任意団体の話だからね。会津という質実剛健を旨とする東北の小藩が、いかに幕末の動乱に巻き込まれ、滅んでいったかをその主君、家臣、さらには家臣の家族たちのキャラまで描き分け、細密に見せた前半は、会津藩史とでもいうべき重厚さに満ちていた。

 

そのせいかどうか、

 

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しあわせな日

生まれて初めて日本シリーズを第7戦まで見た。全試合フルでつきあっちゃないが面白かったし感動さえした。楽天が先に王手をかけたとき、第6戦は田中で負けて決着は第7戦でつくのが一番おいしいストーリーだと妻に言ってたら本当にそんな展開に。やはり誰かシナリオ書いてないか?(^0^;)[11/03のついとより]

 

体がどこか熱っぽく、仕事も予定通りまったく進んでないので、今夜は合気の練習の日だったが大事を取って外出をやめ、部屋でこたつにうずくまりながらテレビで日本シリーズ最終戦を見る。

 

実を言えば今年は日本シリーズが気になって、試合をやってたらテレビをつけてちょくちょくチラ見したりしていた。あ、でも田中が投げたときはガン見っす。昨日の第6戦、田中は負け試合を最後まで投げきったが、もう僕はね、今年楽天のペナントをちゃんと見てなかったことが本当に恥ずかしくなってきましたよ。こんなに頑張ってる人のことを僕はシーズン中、まったく知らなかったからね。

 

同時に、今年楽天のファンをやってる人たちは、実に幸せな半年だったろうなと、そのことがとてもうらやましく思えた。

 

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困った人を困る理由

困った人たち、という言い方がいつ頃から一般的になったのか、僕には正確なことは言えないので、そういうのは昭和の風俗研究家とかマニアにでも任せておけばいいと思う。

 

僕の個人的な体感で言えば僕がまだ会社員だった頃だからもう30年くらい前、内田春菊さんと何度か仕事をする機会があり、その縁でたまに飯を食ったり酒を飲んだりすることもあったのだけれど、彼女がよく、自分の身の回りの「困ったちゃん」の話をしてくれて、もちろん語り口のうまさもあってだが、どれも実に抱腹絶倒のエピソードに仕上げられていた。

 

正直言えば、内容自体はほとんど忘れてしまったが、とにかくおかしかったことは間違いなく、その事実は彼女が使う「困ったちゃん」という言葉のインパクトとともに僕の記憶にしまい込まれた。そう、別段明確な悪人とか反社会性のある人格とかいうわけではなく、たいていの場合は悪意さえまったくないくせに、ただときどき迷惑極まりない言動をする相手のことを「困ったちゃん」と呼ぶ感覚は、当時の僕の腑にすっと落ちた。だからこれが僕の思い違いでなければ、世間にそんな人が存在することを「困ったちゃん」として明らかにしたのは彼女の功績ではなかったかと思う。

 

で、今日は別に「困った人」という言葉を作ったのは誰かという話ではなく、むしろそんなことはどうでもいいんだけれど()、あの山本太郎という人は「困った人」の範疇に入る人なのかもしれないなと、昨日今日の新聞などを見ながら思っていたわけだ。

 

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先週のついとより

WOWOWで『項羽と劉邦』。ついに韓信が大将軍に。これでようやく劉邦は項羽と互角に戦うための条件が整い、いよいよ物語は項羽との一騎打ちに収斂する怒濤の後半クライマックスへ。『史記』ファンには泣かせるエピ満載の史劇がいまたまらなく面白い(^_^;)[10/26 ついたより]

 

ま、いまWOWOWでやってる海外ドラマの一つだが、これは本物の中国製ドラマ。いやあ、中国が本気で歴史ドラマやりだしたら、そりゃ使えるロケ地いっぱいあるだろうし、しかも王宮とか全部本物使いそうで、エキストラも何万人という数を集められるんじゃないかと…… そしたらもう日本にはどう逆立ちしたって勝ち目はないす。

 

なんて思ってたけど、よく見たら迫力の戦闘シーンも攻城戦もけっこうCG使いまくりで、そのうち目が慣れてくると攻城戦なんか、どの城攻めてても毎回同じ映像が出てくることに気づいてしまった()

 

まあ、それでも韓国の歴史劇よりは、戦闘シーンは迫力があるし、見るまではちょっと侮っていた脚本力とか、構成力もそれなりの見せ場や盛り上げを用意していて、案外見せてくれる。もっともこれは、昔司馬遼太郎が同名タイトルでヒットさせた『項羽と劉邦』のお話で、『史記』などのファンにはなじみのエピソードもがんがん出てくるし、そのどれもがもともとドラマティックなのだから、素直にやればやっぱり面白くならないはずがない。

 

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