ドラマ格差時代...(_*)
いま、フジの月9である『極悪がんぼ』とかいうドラマを、20分ほど見て仕事場に上がってきたところ。
今期の新番組からは、いままでのようにもう何でも手当たり次第に見るのは止めて、脚本や役者やあらかたのプロットなどで、何か少しでもこちらの琴線に触れたものがあった作品だけチェックするようにしている。
この方式だと、意外な傑作を取りこぼす危険性もあるけれど、最初からほぼ地雷に間違いないだろうとわかってるドラマを踏むことは少なくて済む。それに日本のドラマの場合、経験上地雷ドラマの方が圧倒的に多いわけだから、実害はそれほどない。
それで言えば、今日待っていた『極悪がんぼ』とやらは、タイトルから地雷の匂いはぷんぷんと漂っていたものの、ただ1点、尾野真千子が主演だというその期待だけで仕事を遅らせてでも見ることに決めていた。
その結果、仕事も遅れるわ、ドラマがつまらなくて不愉快になるわ、何もいいことなく時間だけ浪費していま、仕事場に戻ってきた次第
だいたいさ、いま金融関係の話にどれくらいの需要があるのかな。少なくとも僕は、金貸しだの社会の裏をくぐり抜けるもろもろの闇世界の住人の話などには、いまはまったく興味がない。ただし、興味がなくても、ドラマとして面白ければ見る。
たとえば僕は漫画で『ナニワ金融道』とか『ミナミの帝王』とか、ああいった類いのマネーものとでもいうのか、あの手のジャンルには何の興味も湧かないし、だから当然、その手の作品を書きたいとも思わない。ただし、ドラマ版の『闇金ウシジマくん』は、たまたま何かのきっかけでテレビを1話見てしまったために、それから毎回見るようになった。今冬のシーズン2ももちろん見逃してはいない。
あれがドラマとして面白いと僕が思ったのは、あの物語でウシジマくんという主人公は、実はただの狂言回しのようなもので、本当の主役はシーズンごとにウシジマくんの周りに出没する、金によって運命を狂わされた、あるいは狂わされていくどうしようもない男や女の、どうしようもない運命と彼らがたどることになる末路を、淡々と見せ続けるあの描き方である。
もちろんフジの月9がそんなダークな話をやるはずもないとは思っていたが、それにしても尾野真千子という演技派を主役に配して、いったいどんな物語がやりたいのか、30分見てもさっぱりわからない。わからなくても興味が続けば最後まで見るが、もうね、この先、このドラマで誰が何しようと僕はまったく興味が持てそうにない。というわけで、これもまた、一抜けたあっ、という感じ。
今期は、これでだいたい見るべきものは見てしまった。いまのところ、毎週見ると決めたのは『MOZU』と『なぞの転校生』の2本だけ。ただしこの2本は、相当ハマりこんで見ることになりそうな気がする。
特に『MOZU』のクォリティの高さは、正直言ってびっくりした。原作は逢坂剛の出世作で、日本のサスペンスミステリとかハードボイルドものにおいて傑作の一つにきっと数えられる作品だけれど、いまとなってはもう2~30年くらい前の作品だ。
それをうまく現代社会の中にはめ込んで展開させる、その脚色の腕がまず確かである。さらに内容自体も緊迫感ある展開と、役者たちが下手なコントを差し挟まずにそれぞれ殺気だった芝居を見せていて、まるで映画のような画面作り。まだ第1話でもあり、いまはとにかく謎が次々と謎を呼んでこの先、話がどう転がっていくのかさっぱりわからないが、久々に日本のドラマで、画面を見ながらつい、すげぇ~~と唸ってしまうような作品を見た。
『なぞの転校生』は言わずと知れた眉村卓ジュブナイルの傑作だが、実は僕は眉村卓を読んだことがない(^^ゞ。だから今回、あらためてこのドラマのことをちょっと調べるまで、ずうぅっと『なぞの転校生』と『ねらわれた学園』は同じ作品のことだと思っていた。どちらも遙か昔、『タイムトラベラー』などを生み出したNHKの少年ドラマシリーズで放映していた記憶だけはあったので、『ねらわれた学園』をリメイクしたのが『なぞの転校生』だなどと勝手に思い込んでいたのだ。ええ、もう反省してますですよ。
こんな、本来は少年向けドラマのはずのこの作品が気になってチェックしたのはオンエア直前になって、どこからか『ラブレター』岩井俊二が噛んでいる新ドラマが始まると知ったせい。それがこの『なぞの転校生』であり、岩井ファンの僕は、さっそく録画しておいて第1話をチェック。
はっきり言って、これも面白い。
主人公の少年たちの会話もキャラも生き生きしてるし、何よりどこかで見たような顔がほとんど出てこないのも安心して画面に集中していられる。それでいてみんな、ちゃんと思春期の断片の表情や仕草をきらりきらりと表現し、役者本位のキャスティングがなされているんだなあと想像できる。
画面はこれまたプログレッシブカメラを使っているのか、映画のような渋い画調だが、ハンドカメラの適度な手ぶれ感ともあいまって、心地よい緊張感が全体を包んでいる。これからいったいこの物語の中で何が起きていくのか原作を知らない僕はわからないが、こちらは第1話を見ただけでもはや、大傑作の予感さえする。
このように今期は日本のドラマ界にもいよいよ格差社会が来たことを感じさせる。一握りのハイレベルの作品と、有象無象のどうでもいい作品群が併存する事態だ。あくまで僕の個人的評価の話だけどね。
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