ロング・グッドバイは不発
今期の国産ドラマの充実度は意外にも高い() ……あくまで個人的趣味の範囲内での話だけど
ざっといま毎週欠かさず見てるのは『MOZU』を筆頭に、『ロング・グッドバイ』、『なぞの転校生』、そしてBSで月曜から金曜までの朝の時間帯に放送している『剣客商売』。もうこれだけでね、毎日が楽しくて楽しくて仕方ない。
……すみません。正式な今期の新作は『MOZU』と『ロング・グッドバイ』だけでした()
『なぞの転校生』はテレビ東京系で前クールに放送したものが、ようやっと関西でも見られるようになったものだし、『剣客商売』に至っては1973年版だ。僕は藤田まこと版の『剣客商売』がどうにも許せなくて、いや藤田さん自体は嫌いじゃないんだけど小兵衛は違うだろっ! ていうただそれだけでね。ま、この話はいずれまた。
ところで『MOZU』と『ロング』は、共にサスペンスに加えてぶりぶりのハードボイルドなタッチを売りにした作品として競合していると思うが、この勝負はいまのところ圧倒的に『MOZU』が上回っている。てゆーか、展開のテンポにやや不満はあれど、あれほどの濃密な画面を見せられたドラマはここ数年の記憶にない。まさしく映画クォリティ。監督は羽住英一郎。はっきり言って『海猿』より10倍は面白い
『ロング』はあの渡辺あや女史の脚本だからとかなり期待して見始めたし、見続けているいまも、決してたいした不満があるわけではない。こちらもやはり終戦直後の日本という舞台を、本家アメリカのパルプフィクションの世界に見立てて、本来、水と油のように異質な社会であるために、いままで何人もの作家や監督が挑戦しては無残に失敗してきた、アメリカンタッチそのままのハードボイルド再現の試みに、僕はそこそこ成功しているとみる。
でも、そこでさすが渡辺あやと思えないのは、なんかね。渡辺さんもそつなく男臭いハードボイルドをこなしているなあという感じだけで、実は彼女の作品としてはそんなに面白くない。つまり僕が見たい彼女の作品は、こんな感じじゃあないんだよ。
まだ話は中盤だし、フィリップ・マーロウも知らない仲じゃないので()最後まで見届けるつもりだけど、一言で言うと、なんか眠たい。録画しておいた話をなんべん再生しても、なかなか最後までたどり着けずに途中で寝てしまってる。1話見終えるのに4、5回再生してるな。
もっとも監督は確かアルドリッチだったか、エリオット・グールドがマーロウを演じた『ロング・グッドバイ』も、冒頭から眠たくなる代物だった。決してつまらなかったと言ってるわけではなく、マーロウの活躍する世界って冒頭から都会の夜、喧噪と孤独、そんな風景をパンしながらそのバックにジャジーなバラードを奏でるペットの音でも流れれば……気持ちよく寝れるんだ、これが。NHKの『ロング』も見事にこのお約束を踏襲している。
でもせっかく脚本に渡辺あやを使えるなら、こんな古典の古典通りのリメイクではなく、彼女の考えるハードボイルドを現代を舞台に堂々とやってほしかったな。このドラマ自体の出来は決して悪くない。特にどこか正力松太郎ぽい匂いも漂わせる柄本明の底知れない悪役ぶりは、なかなか堂に入っている。でもあの人は、渡辺あやの脚本でなくたって、あれくらいの芝居はするだろう。というわけで、彼女の作品としては次作に期待。
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