最終回の季節
さあ仕事にかかろうと思う手前で、『シドニアの騎士』最終回のオンエア時間になったので、つい見てしまう。相変わらずCGポリゴンの効果か、空戦シーンの迫力は凄まじい。これを見ると新作ヤマトの戦闘シーンもぬるく思えるほどだが、あまりにスピード感がありすぎて、結局何が見えてるのかさえよくわからないことが多々ある
もひとつ言えばこの話、『進撃の巨人』と同じく、物語はまったく終わっていない。まあ、それなりにヒットしたなら続いて第2シーズンとか第3シーズンを製作する運びになるのかもしれないが、それ、いったいいつオンエアされるのか、せめて予定や目処くらい教えてくれてもいいじゃんと思うのに、そういう情報は滅多に出てこない。
考えてみりゃ最近こういうパターン多い。そもそも原作に選ばれたコミックはみんな人気があるから十中八九長期連載になってるし、それをせいぜい10話前後の1クールでまとめられるわけがないことはハナからわかっているはずだが。と言って、『蟲師』の続編みたいに8年も間を空けられてもなあ。まあ、あれは長編というよりは1話完結のオムニバスみたいなもので、続きがどうなるのかとても気になる……という類いの話ではないからいいのか。
ちなみにシドニアの最終話、一応シーズン終了話に合わせてクライマックスぽい見せ場となる戦闘場面はあるけど、本編中にちりばめられた伏線や謎はほっぽらかしたまんまだし、そんなもの物語としては、評価のしようがない。僕の印象ではつまり、物語の後始末が出来なくなること承知で、長編漫画をアニメ化している作品は、基本的に原作を読んでるファン向けなんだろう。
そりゃ原作を知ってたら、世界観の面白さとか人間関係の因縁などももう少し感情移入できるのかもしれないが、年寄りの僕にはキャラが同じ顔ばかり並んでるように見えるから、誰が誰かの区別さえちゃんとついてない。そんな状態で無理矢理ガンダムのラストを彷彿とさせるエンディングを見せられてもなあ……ガンダムのラストシーンでは僕は号泣していたけど、シドニアの(一応の)最終回ではぎんぎんに冷めてたぜい。
ガンダムで思い出したが、あれはいまから見ても実によく出来た作品で、あの感動の最終回が視聴率がふるわずに打ち切りになって縮められたものだなどとはまったく知らず、最初からあの着地点目指してストーリーを収束させてきたのだと、当時の僕など信じて疑わなかった。それほど昔の脚本家は骨の太いドラマを作り上げ、その物語を語る構成力、別の言葉で言えば腕力に長けていた。
そう。昔はアニメでもドラマでも、印象に残る最終回というものがあったし、その最終回に至る盛り上がりも含めてのインパクトが結局はその作品シリーズ全体の印象を決めていた。
近年はアニメでもドラマでも、たとえば中盤までは感心させてくれそうないいテンションの作品だったのに、最終回でがっくりと盛り下がって、こちらを失望させてくれるものが非常に多い。特に途中までは入れ込んでいるような作品が、最終回でトホホになればもうそれだけで、可愛さ余って憎さ百倍という奴か、遡って全部否定したくなってしまう。
ちなみに「可愛さ余って」などというこの言葉、僕は私生活で使ったことなど一度もないが、それなりにインパクトある言葉として刷り込まれてしまったのは記憶に間違いがなければ、確か『愛と誠』で、蔵王権太(だったかな?)とかいう権力者の息子で不良の総番長みたいな男が使ったからだということを、なぜかいまだに覚えている。もう40年は前の話だ。
そんなことはとにかく、最終回は難しい。一つのシリーズ全体を一本の作品として考えるなら、最終回こそオチであり、クライマックスであり、時にラストシーンなのだ。だから昔の作品を僕らは最終回で覚えている。アトムやジャイアント・ロボがどんな最期を迎えたか知っているし、ダンや伊達直人やジョーが最強の敵が待つ最後の戦いを前にして、ヒロインに言った言葉を諳んじられる。
近年、そんな風に記憶に残る最終回が、僕にはほとんどない。それは言い方を変えれば、クライマックスが記憶に残らないのと同義である。最近の作家の脚本力が落ちているのか構成力が木端微塵なのか、堂々たるという形容がふさわしい作品になかなかめぐりあえないのは、物語好きとしては寂しい。
これからドラマが切り替わる季節で、この数週間で様々な最終回が放送されている。まあ、今シーズンも例によって日本のドラマはほとんど見てない僕が、これこそはと選んで見ていたのは『MOZU』と『なぞの転校生』くらい。
はっきり言うが、この2本とも最終回はアウトだった。『MOZU』は、もう最終回に至る数話前からかなりつらかったがな。でもWOWOWで始まる第2シーズンも一応見るつもりではいる。『なぞ転』は最終回の手前からいきなりバタバタッと展開が詰め込まれ、いろんなものが放っとかれながら、とにかく物語を収束させるためだけの展開となっていった。前半がすごくよかっただけに、惜しいし悔しい。とりあえずDVDBOX購入予定の勢い、いまは微妙()
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