FBのゆーうつ

何日か前、FBを覗いたら、タイムラインに誰かが「いいね」コメントつけたか、シェアで引っ張ってきたのか、竹田なにがしという時々メディアで名前を見かける人物のブログ記事が紹介されていた。

この竹田なにがしという人を僕はほとんど知らなくて、まあいろんな意味で特徴的な顔をなさってるから、多分お笑い関係の人だろうと最初は思っていたが、その後、ときどき芸能ニュースなんかでも話題を聞くと、まあその認識で結果的に間違いはなかった。少なくともこの人が出てくるテレビ番組は、十中八九番組自体が気持ち悪いので、すぐにチャンネルを変えてるし、いずれにせよそんな番組に出ているということで、どういうことを喋ってる人かということは、おおよそ想像はつくけど、基本どうでもいい。

ところがですな、そんな人のブログが、僕のFBのタイムラインでいきなり目に触れたりするわけさ。引っ張ってきてるのは僕が友人として付き合ってる人間だから、まあ、以前から、へええ、最近あいつはこういう傾向だったのか、とは気づいてたし、付合いに自分の趣味を持ち込んできたり押しつけてこない以上は、友人としての歴史の方が大事だと僕は思っている。ただね、

いきなりFBにそれを持ってこられると、はっきり言って朝から気分がなんだかどよよ～んとしてしまう。そりゃおまえの趣味では快哉を叫びたい記事なのかもしれないが、一般的な知性と品位の基準から言えば、それは違うぞ、と言いたいことが多々あるわけだし、そんなこともこいつはわかってないのかと、重い気分にさせられるからね。そりゃまあ、確かに人の趣味嗜好と知性と品位の基準は様々に違う。

だから僕個人の趣味嗜好は人にいばれたものではないし、僕には知性や品位があるのだと言ってるわけでもない　ここで言う品位は大人として、日本人として、あるいはもっと広く言えば人間として最低限の知性と品位のことを言っている。いわゆるネトウヨ系の言説にはそれがないことが特徴と言っていいが、滑稽なのはそれ系の言説を唱えたり支持したりしている人々にも、その自覚がない。

僕のこのブログなんざ、ある種の傾向を持つ人にとっては逆に不快極まりないかもしれないが、まあ、ブログだからね、という言い訳はある。不快な人は寄りつかなければいいし、そうなると自然に、本当につきあってて気楽なのは、つまり似たような価値観を持ってる人は、FBの「ともだち」ではなく、ブログを通じてつながってる誰かの方だったりする。僕が酒を飲みたいのはつまりそういう相手さ。

でまあ、話題にするのもあれなんだけど、そんなわけで竹田なにがしのブログをつい読んでしまい、嫌な気分にさせられたのは何かと言えば、この人は何かこの季節になるとそわそわだかうきうきだかして、米屋に米を買いに行くんだそうだ。すると米屋が新米を売ろうとするのでバカもん、などと米屋を一喝し、天皇が新嘗祭を行うまで新米を食するのを我慢してるのに、日本人が天皇より先に新米を食べるとは何事かあ～っと、怒鳴ってやったみたいなことを書いていて、あほらしいのであまり細かいことは覚えてないが、確かこんな内容だったと思う。

こういう記事を書くバカがいて、それに「いいね」「いいね」とか言ってる「日本人」が何人もいるということに、何より気持ちは冷える。僕は神道関係に特別詳しいわけじゃないので、新嘗祭、あるいは神嘗祭などの定義や意義が、本当にそんな意味があるのかどうかは判断できない。多分それも違うと思うけど、それはいずれ誰か詳しい人が論破するだろう。まあ、そんな相手するほどの話題じゃないと言われりゃそれまでだが。

それよりも、一般的な日本人として、おまえ、何言ってるの？　と思うのは、もし万歩譲って新嘗祭が終わるまで、新米は食さないというのが神道信者にとってのルールだというなら、この人の頭の中には、日本人は神道信者しかいないということになる。もちろん僕は友人にイスラム教徒がいれば、彼らのラマダンは尊重するし、神道信者のルールがこうだと言われれば、その時期、彼らに新米は供さないよう注意するだろう。

ただし、僕らはがっつり食べる。新米、一昨日、知り合いにもらったばかりだし。しっかりと本物の日本人として。お百姓さんに感謝しながら。日本の米を大事に、守り続けたいと願いながら。ま、必ずしも毎回そんな風に意識はしてないにしてもさ()

何にせよ、この国には仏教徒もキリスト教徒もイスラム教徒も、あるいはかなり怪しげな独自教義の宗教者だってわさわさと寄り集まって住んでいるのだ。それらの人たちが日本人として構成しているこの国が日本なのに、この竹田なにがしという人はいったい誰に向かって何を言いたいのかが、実は僕はさっぱりわからなかった。単に妙なクレーマーに絡まれた米屋さんこそ気の毒だったなあと思ったくらいで。この発言に「いいね」をした人々は、これが露骨な排他思想、あるいは選民思想につながっているという気分にはならなかったのだろうか。

ついこないだもあったが、時々ネット上に、クレーマーが自分の体格や数の力を頼りに、客に反撃できない立場の店員などを恫喝し、土下座などをさせる姿を動画でアップして、直後に逮捕されるという事件がある。普通に知性のある頭で見れば、自分で自分の犯罪の証拠をわざわざ公開しているのだから間抜けとしか言いようがないのだが、連中は恐らく本気で、自分たちが正しいと思っている。だから失礼な店員を土下座させてやったなどと大喜びで己の犯罪を誇るのである。

これははっきり言って、ネトウヨの心性である。竹田なにがしの記事もこれとまったく同じ構図だし、いま世間で明らかに犯罪的な行為を声高に行っている連中も、恐らく自分たちは正しいことをしていると信じ切っているから、たとえ一般には国辱的と思われるような行為でも堂々とできるのだろう。こういう心性を持っているはずの連中が、時に店員を土下座させるような映像を見て憤慨したりしている。あまりに滑稽で嗤うしかない。土下座させる相手が朝日新聞の専売所店員だったりしたら、どうせまた快哉を叫ぶのだ。

冗談ではなく、いずれこの時期に新米を食べただけで、頭に三角帽でもかぶらされて、土下座させられる日がくるかもしれないと思うと、心底ぞっとする。