邦画2本。簡単な覚え書き
心身ともに煮詰まってたので、WOWOW録画してた映画を2本見る。2本とも邦画。
見たのは『共食い』と『俺はまだ本気出してないだけ』。どちらもネタバレありかもしれないので、とりあえず感想は隠す。
『共食い』
芥川賞を取って話題になった作品。厳密には作品内容そのもので話題になったというよりは、受賞時のコメントか何かで著者が石原慎太郎を揶揄するような発言をして、そのおかげで作品も注目された。最近は芥川賞もいろいろ場外乱闘のような話題でも作らないと厳しいようだ。ジャージ姿でインタビュー受けるくらいじゃ、ぬるいぞ
実際この作品、しんねりむっつりおまけにぬらぬらした、いかにも近年の芥川賞らしい作品ともいえ、僕は計5回くらい挑戦して、結局全部最後まで読めずに挫折した。もう、体が以前ほど活字を欲していないのか。それよりなんか最近急に目が弱くなってきたのが深刻で、やはり老眼鏡を買っておいたことは間違いではなかったな()
映画を見て、ようやっと小説はこんな話だったのかと理解したが、こういう文学作品の場合は原作となった小説そのものと映像化された作品のニュアンスがまた微妙に違ってたりするから、これを見て小説を読んだ気になるのは間違いだと思う程度の分別はある。その上で言えば、映画は正直、ちょっと退屈。
基本はセックスの時に相手を殴りながら果てるという性癖のある男のセックスをのぞき見ながら育った息子が、自分もいずれセックスしながら女を殴るのではないかという強迫観念にとらわれつつ、つきあってる女とセックスするような話。最後にちょっとしたドラマ的展開もあるのだけれど、なんだかとってつけた感のようなものであるのは否めない。
この映画に僕が何の心も動かなかったのは、もしかして僕がもう年取ってしまったからなのかなあ。20前後の頃、田舎から上京してきて、悶々とした鬱屈を抱えながら一人暮らしをしていた僕は、たとえば『十九歳の地図』や『祭の準備』や『正午なり』なんて映画を見て、それぞれそれなりに心震える共鳴を味わったものだけど、たとえばいまの20前後の人は、この『共食い』を見て、どこかでど~んと胸打たれたりするのだろうか。
僕にはそれがはなはだ疑問で、なんつうか、そりゃ僕の見てきたものに多少の贔屓目はあるにしても、この作品、映画としての生命力が凄く弱い感じがする。役者さんをどうこうはあまり言いたくないけど、まずあの親父役は違うんじゃない? 田中裕子も思ったほど精彩ないし、やはりあの役というか、キャラクターを、あの田中裕子の顔で演じるのはちょっと無理がある。全体、女優がみんな美人だしね。確か原作に出てくる女はもっと澱んだ、あるいは崩れた感じがそれぞれあったものだと思うが。
だから映画本来の趣旨からは逸れるが、僕は主人公の継母(?)、ていうか父親の愛人役の篠原友希子の肉感美が気に入ってしまった。これからしばらくこの人の作品、追っかけてみようかな()
『俺はまだ本気出してないだけ』
同名コミックを原作とした映画化。俺が本気を出せば大ヒット間違いなしの傑作漫画を描けるのだが、いまはまだ本気出してないからなどと、自分の現状から目を逸らし続ける痛い男の日常を描く話だが、はっきり言って僕はもう、見ているうちに全身矢衾の的になったような気分を味わった。そういう特殊な自意識を持ち合わせていない人には、ただのコメディ映画作品と映るであろう。
堤真一って僕はこの年になるまでほとんど意識したことのない、特に好きな役者さんというわけでもなかったが(たとえば京極堂とかまったく似合ってるとは思えなかったぞ)、少し前に『地獄でなぜ悪い』を見て以来、コメディアンとしてのこの人の表現力には一目置いている。今回は『地獄』に増して、いいかも。
だが、この映画で最高だったのはもうほとんど終盤、編集者の役でわずか2シーンしか出てこなかった指原莉乃の圧倒的に地味な存在感だ。もともとAKBとかまったく詳しくないせいもあるけど、僕はクレジットを見るまで、あれが指原とはわからなかった。でも、最初に画面に出てきた彼女を見たとき、僕は思わずテレビの前で唸ったもの。おぉお~、確かにたまにいるなぁ、こういう女……編集者に。 と、指さしながら
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