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最終回2本

仕事に一区切りつけた合間に、録りだめしておいた『Nのために』『ごめんね!青春』の最終回を見る。

 

『N…』の方はもう、ほぼ予想通りにつまらない真相で、ここまで付き合ってしまった行きがかり上、最後まで見てしまったが、その真相とやらを明らかにされてからも「だからどうした感」と「なんでそうなるの感」に包まれ、結局僕がここまで見てきたものはいったい何だったの? という根源的な問いに至ってしまう()

 

もしかしたら僕はこのドラマ、ミステリーだと思って見ていたことが、失敗だったのかな。

 

ミステリーの定義には人それぞれの物差しもあるだろうけど、とりあえず僕はミステリーものの典型的な約束として、まずそこに解かれるべき謎の存在があり、そしてそれが様々な探偵役によって理路整然と腑分けされ、さらにその謎が解かれたことで物語の中の主要な登場人物の誰か、あるいは全員の運命が大きく変わってしまうという、そんな構図を持っている作品だとすれば、そんなに的外れでもないだろう。

 

この話は冒頭に殺人事件のシーンから始まり、そこからストーリーは過去と現在、その過去もヒロインの高校時代と、事件の起きる直前までの時点の二種類あり、そして現在はその事件から十年経っているという三つの時間軸を、実にめまぐるしく入れ替わりながら様々なエピソードが描かれる。

 

当然、殺人事件の真相、つまり誰が誰を殺したのかというところがメインの謎として提示されるわけだが、この話、ヒロインのそれぞれの時代に錯綜した事件があって、たとえば彼女が家を出て進学する直前に、彼女の大事な友人である同級生の男の子の実家が火事に遭い、その火事が放火かどうかという謎がまた、ヒロインの過去に一つの影を落としている……という設定になっている。

 

でね、まずこの火事が放火かどうか、十年以上にわたって追い続ける執念の派出所巡査を三浦友和が演じているんだけれど(TV版『白夜行』でいえば武田鉄矢?)、これ自体、そこまでこだわる事件なのかという説得力が、あまりない。

 

この火事で少年の実家は全焼するが、家にいた父親は救出され、特に死人などは出ていない様子。強いて言えば、その父親を救出するために火事現場に飛び込んだ三浦の妻、原日出子がちょっとした怪我を負い、そのあと声が出なくなるのだが、これ、火事現場で熱風を吸い込んだとか、とにかく火事が原因で声が出ないのだと思っていたら、後で明らかになるけど心因性だというのだ。

 

で、三浦はどうも声を失った妻のために、つまりあの火事には何か秘密があると睨んでその真相を探り始める、みたいな展開になってるけど、それ、動機として何かあやふやで弱くないか? 僕は前半の思わせぶりなカットバックから、てっきり三浦の奥さんである原日出子はその火事のために死んでいて、三浦はその復讐のために取り憑かれた先入観でヒロインの近辺を探っている、こういうことかと思っていた。

 

でも何話目かで原日出子、突然生きてたし

 

それにね、たとえばその火事が実は放火で、しかも真犯人はその家の息子である少年、またはそのガールフレンドだったヒロインとの共犯だったのではと、どうも三浦巡査は疑ってるみたいだけど、百歩譲ってその火事を放火だと疑ってかかるなら、第一容疑者は火事現場で酔い潰れていた少年の父親だろうよ。

 

それをなぜたまたま外からその火事を目撃していた少年とヒロインを疑うのか、こんな人は一生巡査止まりで当然だろう。で、実際最終回直前、原日出子によって自分の家に放火したのはその父親であったことが明かされる。15年もかかって明かす真相か!? もうこの時点で僕は、最終回で明かされるだろう10年前の殺人事件の真相も、多分どうでもいい真相だろうと確信する。

 

もう僕は幾つか真相とされるパターンを思いついていたし、これ以外にあっと驚く真相があって、たとえばその部屋には第三者の宇宙人がいて、こいつがその部屋で2人も殺した後、壁の中に消えたというオチであったとしても、そりゃあ驚くけど感心はしない。

 

そしてこの最終回で明らかにされた真相は僕が考えた中にあり、しかもその展開だとそもそもこのシチュエーションはどうして生まれたのか、つまりそんな状態になる必然性なんか別になかったんじゃないの? というパターンだったものだから、結局そこでこのドラマ全体がいったい何がしたかったのか、さっぱりわからないものになってしまった。

 

なんかね、この坂を越えたら向こうに大きな山裾から空にかけて、凄く気持ちのいい景色が広がってるんだと信じて一生懸命上ってみたら、とうに山肌は切り崩され、見渡す限り宅地になっていたような気分である。

 

ただ、先に書いたようにこのドラマ、ミステリーだと思って見ると本当に肩すかしをくらうけれど、ただの青春群像ドラマだと思って見れば、特に前半は案外見られる作品だったと僕は思っている。

 

瀬戸内の島で何不自由ない暮らしをしていたヒロインが、愛人を家に入れた父親によって母親ともども家を追い出され(こんな親父は、海に面した町で暮らす人間の中にはけっこういそうで怖い)、現実を受け入れられない母親はどんどん精神的におかしくなり、ヒロインは高校を出たら何とかこの島を逃げ出したいと願うようになる、その流れは実に自然で、しかもヒロインを演じた榮倉奈々、見事な高校生っぷりで萌えた。

 

そうして大学のために上京し、入居した貧乏アパートで先住民の長老的大学生や、後にヒロインに恋心を抱く男前の大学生らと知り合って、青春の冒険を始めて行くという展開は、これが一見ミステリーにさえ見えなければ、なかなか面白い青春ドラマになった可能性はある。それを毎回、冒頭に10年前起きた殺人場面の断片カットを挿入して無理矢理ミステリーな見せ方をしてしまったのが、そもそもの失敗だった。

 

話はぶっちぎれる、時間はどこへ飛ぶかわからない、少なくともヒロインが島で暮らしていた第1部、とでも言うべきパートにはあったそれなりの切実感が、東京編になってからすべての登場人物において、極めて薄くなっている。小栗旬のトラウマである虐待エピソードも、ちょっと母親に虐待されてたって味付けしとけばキャラも深くなるでしょ、ついでに小西真奈美も夫のDVに悩んでいて、これはこれでこうつながるでしょ、でけた! てな感じの浅ましさが見え見えのエピソード作り。これでは『永遠の仔』の足下にも及ばない。

 

ちょっぴり謎で深刻な展開もありの、純文学風青春ドラマとしてこの物語が構成されていたら、もう少し作品としてちゃんとしたものになった気もするが、残念。

 

……あ、調子に乗って書いてたら『ごめんね! 青春』の感想を書く時間がなくなってしまった。というわけで、『ごめんね』の感想はまた後日。ごめんね、ごめんね~。

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コメント

(これも認知症の歌?!)
おうちを聞いても判らない
なまえを聞いても判らない
ニャンニャ・・・ (サバラ)

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