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希望の星ももうぼろぼろで

思いついたことを思いついたときに思いついたまま書いていくことにする。

 

さっき別のことを調べるつもりで朝日の新聞サイトを覗いてたら、北星学園の記事の見出しが目に入った。

 

ここは朝日新聞で例の「従軍慰安婦捏造」記事を書いたとされる元記者が就職していた学校で、あの「朝日のおわび」騒動前後の頃に、この元記者が働いていた大学に脅迫があり、実際そのおかげで彼は別の大学では仕事を失っていた。

 

ところがこのとき彼を採用していたもう一つの大学である北星学園は自らのホームページにコメントを出し、簡単に言えば、いっぱしの大学がそんなバカの脅しに屈していられるかという態度を表明した。

 

僕はもちろん北星学園なんて大学の名前を聞くのも初めてだったが、正直この時は驚いた。だってまさか日本にいっぱしの大学があるなんて思ってもいなかったし、現にもう一つの大学は即座にびびってその元記者を大学から追い出したわけだからね。

 

だから僕はこの大学の名前は覚えておくことにした。極端な話、うちの姪っ子たちがどこか進学先に困っていたらこの大学を推薦してやろうかとさえ、思っていたほどだ。だってこういうところこそ、まさに学問の府という言葉に恥じない大学ではないかと、そのときは思っていたのさ。……ま、北海道だから絶対僕の妹は反対するだろうけどね。

 

ところが、である。さっき見た朝日の記事の本文を見ると、なんとここの学長、この元記者には大学を去ってもらう方針であるという。

 

まあ、まだ決定した話ではないし、大学を追い出すわけじゃなく今期の契約は最後まで務めてもらい、来期の再契約はしない方針だという言い方が正確なんだろうけど、実質的には脅迫の原因となっているその元記者に出てってもらうつもりであることには違いない。つまり、北星学園側が声明を出した後も、ずっと嫌がらせや脅迫は続いていたというわけだな。

 

当今のニッポンの首相は、卑劣な行動がどうも大嫌いなようであるから、こういう事件に対して顔の見えない脅迫者たちの卑劣極まりない行動を非難でもしてみれば、多少はあの男にも良識のかけらは残っているらしいと認めてやってもよいのだが、いかんせんこういう卑劣な連中が安倍そのものとつながっているとしか思えないから、仕方がない。

 

もちろん安倍自身が大学を脅迫してるわけではなく、あの人はもっと別のところを脅したりすかしたりするのに忙しいはずだが、たとえばFaceBookみたいなちゃちいSNSで、安倍に向かって「よ、大統領!」とか「あんたは最高!」とか言ってる連中の中に十中八九、犯人は含まれている。少なくともこの手の卑劣系事件が、安倍ちゃんファンと同質の志向を持ってる連中によって行われているだろうとは、等々力警部にでも推理できるというものだ。

 

ちなみに僕はここで偉そうに、北星学園の態度を腰抜けだとか学問と自由に対する裏切りだとか言って責めるつもりはない。あれは最初に、バカには負けないぞと言い返した時点があまりに出来すぎていた。普通この国では、大学のような大きな組織、しかも他人を収容し、預かる状態が業務そのものに関わっているような組織なら、おまえらの客も襲うぞみたいな脅迫をされたら一発で崩れるに決まっている。別に客の安全のために、じゃなく自分の責任を回避するためだけだったとしても。

 

だから残念ではあるけれど、態度を変えた(そもそも最初の声明自体、学長の意志が反映されてたかどうかもこれで怪しくなった)学長のことは責められない。これが普通の反応なのだ。現代のこの国に住む人間たちならば。僕がその立場にあったと想像しても、必ず脅迫には屈するだろう。だからあの声明を見たときは感動したのだ。日本もまだ捨てたもんじゃない、と思ってね。

 

元朝日の記者が、職を失うに値する記事を書いたかどうかは基本的に問題ではない。いかなる理由があろうと、学問を行う場である大学の人事を含む自治権は大学そのものにあって、本来国家やいかなる世俗権力の介入も許さないのが建前であるはずだからだ。もちろん暴力や脅迫による介入など論外で、大学がそのようなものにびびってしまえば、大学から学問の精神は死ぬ。まあ、はからずも今回の一件で、やはり日本に生き残っているまともな大学というものはないのだと、改めて認識した次第。

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