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新番組雑感その1『DOCTORS』

1月も半ばになって、新番組もだいたい出そろってきた。ので、自分が見た範囲で簡単な雑感メモなど。

 

今期はまた、テレビドラマもいつもの残念なレベルに戻りつつあって、見たいと思える作品がほとんどない。そんな中でもちょっとは期待したり、どんな出来なんだろと気になる作品はあるので、そのあたりから攻めてみたのだが。

 

まず沢村一樹主演の『DOCTORS~最強の名医』は、第1シリーズはちょっと面白いところもあって、わりと最後までほとんど見た記憶があったのだけれど、第2シリーズはあまり記憶にない。いずれにせよ第2シリーズは、僕の好きな顔である比嘉愛未のナース姿を見たいという目的のためにしか、見ていなかったような気もする。

 

これもなんと今回が第3シリーズ。売れてるのか? 年明けに、本編が始まる前にスペシャル版みたいな話を2時間枠でやってたけど、僕はそれを半分くらい見てさすがに耐えられなくなり、続く本編も見る気をなくしてしまったという、何のためにやったんだスペシャルであった。

 

僕が最初、この作品を面白いと感じたのは、沢村演じる主人公のキャラがなかなか正体不明で、それが沢村自身のつかめなさとあいまっていい効果を出していると思えたからだ。ある意味、わかりやすい腐りきった医師ばかりいる病院に乗り込んできた沢村が、同僚からの攻撃をのらりくらりとかわしながら、最終的には自分の意志通りに他人を動かしていき、結果的に病院自体も改革していくというパターンは、ま、よくある医療ドラマとはちょっと毛色が違っていた。

 

たとえばこの主人公を思いきりダークにすれば、20年くらい前の『ふり向けば奴がいる』になるかもしれない、などと考えたりしたが、いつの間にか話は逆にどんどん明るくコメディな展開に、はっきり言えばライバル役の高嶋政伸が、怪演のボルテージを上げれば上げていくほどに、物語全体も嘘っぽく&薄っぺらくなっていき、いわゆる『ドクターX』みたいなものになってしまった。いくら比嘉愛未を見たくても、そのためだけにあの陳腐化した話に1時間近くも付き合うのはつらい、というわけで今期から完全にこのシリーズはオフ。

 

もちろん『DOCTORS』の陳腐さがまだ可愛く思えるほどに、セレブ患者のみ専門に扱う病院という設定で、そこで働くナースの堀北真希を主人公にした『まっしろ』という話もあって、僕は5分で耐えきれずにやめたが、日本で見るに堪える本格的な医療ドラマが見られるのはいったいいつになるのだろう。

 

ま、僕が書いたらどうなるか、ということを時々考えんでもないのだけれど、ずいぶん昔に、もし万一『なみだ坂』をテレビ化したいなんて話が来たら、僕が脚本を書くという条件ならOKしてもいいとは思ってる、などと口走ったら担当編集に、それだけは全力をかけて阻止します! と、宣言されてしまった()

 

ちなみに僕が好きな田宮版『白い巨塔』なんかはさすがに出てくる役者の貫禄も違うし、見応えのあるドラマだけれど、あれは僕の定義で言うと、厳密には医療ドラマではなく、大学病院を舞台にした政治ドラマだからね。それで言うと日本の俗に「医療ドラマ」と称するものも、医師と患者というシンプルな人間関係の中から様々な人生を切り取って、生きることの意味そのものを描こう、なんて展開にはほとんどならず、しょーもない枝葉なことに時間を割きすぎだと思う。ほんとにね、ちゃんとした医療ドラマが見てみたいよ…

 

てなことを言いつつ、いま「あっ」と叫んでしまった。日本でも見応えのある医療ドラマがあったことを思い出したのだ。

 

それは僕が高校生の頃、NHKの「水曜時代劇」だったか「金曜時代劇」だかの枠で放映していた『赤ひげ』である。そもそも僕はこのタイトルを、黒澤明の映画より先に、このドラマで初めて知った。主演の新出去定は小林桂樹。保本登をあおい輝彦、その元婚約者を仁科明子、養生所での保本の人のいい先輩医師を有川博が演じていたあたりまでは、いまでもその扮装や表情までも思い出すことができるほど、僕にはインパクトのある作品だった。

 

脚本はあの頃、最も時めいていた作家、倉本聰であり、そういえば僕はこの人の名前をきっかけに、シナリオというものへの興味を覚えるようになっていったんだよなあ。

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